2013 Fiscal Year Research-status Report
パルスニューラルネットワークを用いた人型ロボットの行動制御法に関する研究
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25870842
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanto Gakuin University |
Principal Investigator |
元木 誠 関東学院大学, 理工学部, 准教授 (20440282)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | パルスニューラルネットワーク / 人型ロボット / 転倒回避 |
Research Abstract |
本研究で使用するキッズサイズ人型ロボットとして,株式会社アールティから販売されているキッズサイズ二足歩行ロボット「RIC-90」を購入し,各種センサおよび自律制御用PCを搭載することで自律行動できるように改良を施した。これにより,本研究の目的である,ニューラルネットワークを全高が子供程度の人型ロボットのコントローラとして使用することで,芝生や砂地など様々な地面でも転倒しない行動制御法の考案および実機での検証が可能となった。 人型ロボットのコントローラとして使用するニューラルネットワークの考案については,まず,車輪型自律移動ロボットのコントローラとしてパルスニューラルネットワークを使用した場合の車輪のスリップやセンサノイズなどの外乱に対する頑健性を実機実験で調査した。その結果,パルスニューラルネットワークは外乱に対する頑健性が非常に低いことが明らかとなった。このままでは人型ロボットの歩行時の姿勢制御には使用できないことから,引き続き,車輪型自律移動ロボットを用いて外乱に強いパルスニューラルネットワークのモデルを考案する。考案したパルスニューラルネットワークモデルを人型ロボットのコントローラとして使用することで,様々な地面でも転倒しない行動制御法を研究する。 キッズサイズではないが,以前から研究している小型(全高35cm)の人型ロボットを用いて,遺伝的アルゴリズムとニューラルネットワークにより,歩行時の転倒回避動作をリアルタイムに補正するとともに,適切なタイミングで適切な動作を行う行動ルールを強化学習で構築する手法を改良した。検証実験の結果,従来よりも転倒回避行動の成功率が向上した。今後は本手法をキッズサイズ人型ロボットに適用する。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度は,本研究の達成目標「①人型ロボットの歩行動作を芝生や砂地など凹凸のある様々な地面でも転倒しないように制御するためのパルスニューラルネットワークモデルの考案,②人型ロボットのコントローラであるパルスニューラルネットワークを最適化するための統合的最適化システムの考案,③キッズサイズ人型ロボットを用いて,考案したパルスニューラルネットワークと統合的最適化システムの有効性を検証する実機実験の実施」のうち,①と②の達成を計画していたが,パルスニューラルネットワークがセンサノイズなどの外乱に非常に弱いことが明らかとなり,②の目標を遂行する前に,まずは外乱に強いパルスニューラルネットワークモデルを考案する必要があることから,②の目標が達成できていない。 なお,計画の遅れを取り戻すために,パルスニューラルネットワークを用いずに,従来のニューラルネットワークを用いて人型ロボットを芝生や砂地など凹凸のある様々な地面でも転倒しないように制御するための手法についても検討している。キッズサイズではなく小型の人型ロボットではあるが,従来よりも転倒回避行動の成功率が向上するといった成果が上がっている。外乱に強いパルスニューラルネットワークモデルの考案が難しい場合は,これを採用することで様々な地面でも転倒しない行動制御法の考案が可能であると考えられる。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,研究計画が遅れていることから,計画を一部変更する。当初は人型ロボットの歩行動作を制御するためのパルスニューラルネットワークモデル,および統合的最適化システムを,小型の人型ロボットを用いて検証する計画だったが,小型ロボットのスケールに合わせて凹凸のある地面を作成したりと,実験環境の整備に時間を要することから,小型の人型ロボットを用いた検証を中止し,キッズサイズ人型ロボットを用いて検証するように計画を変更する。キッズサイズ人型ロボットを用いることで,砂地や芝生上で歩行させるなど,人と同じ環境で検証することが可能となる。所属機関のキャンパスを利用し,実際の芝生や砂地など凹凸のある地面で検証実験を行う。 また,外乱に強いパルスニューラルネットワークモデルを用いることが難しい場合に備え,小型の人型ロボットで成果が上がっている従来のニューラルネットワークを用いた転倒回避手法をキッズサイズ人型ロボットに適用することを計画に加える。 キッズサイズ人型ロボットを用いた検証実験の開始時期は,実験場所が屋外であることから,暑さによりロボットが故障することを防ぐため,平成26年10月以降を予定しているが,小型人型ロボットを用いた場合に比べ,歩行距離が長くなることや動作が遅くなること,動作により発熱したサーボモータを冷却する必要があることから,多くの時間を要することが予想される。研究計画の遂行が遅れた場合は,平坦な路面となってしまうが,廊下など屋内にて実験するように計画を変更する。 また,全研究期間で得られた成果を学会で発表する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
キッズサイズ人型ロボットに搭載する各種センサおよび自律制御用PCが安価に購入できたため。 次年度使用額は平成26年度に物品費として使用する。
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Research Products
(4 results)