2015 Fiscal Year Research-status Report
IL-13Rα2を標的とした膵臓癌転移抑制と生命予後の延長
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25870846
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Research Institution | Tokyo Health Care University |
Principal Investigator |
藤澤 聡郎 東京医療保健大学, 医療保健学部, 講師 (50627346)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | IL-13Rα2 / 膵臓癌 / 生命予後 / HAT inhibitor / ポリフェノール / 膵臓癌マウスモデル / 予後規定因子 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では平成25年度から27年度にかけて、①膵臓がんにおけるIL-13Rα2の発現が腫瘍の転移と患者の生命予後が関連しているかを調べ、その結果に基づき②IL-13Rα2の発現を意図的に調節することにより転移を抑制し生命予後を改善できるかを検討することを目的としている。 ①に関しては横浜市立大学医学部付属病院とNTT東日本関東病院の膵臓癌手術検体におけるIL-13Rα2の発現と生命予後を比較した。IL-13Rα2の発現が強い群で有意に生命予後の短縮がみられ、IL-13Rα2の発現が強い予後規定因子であることを見出した。また、IL-13Rα2の発現は神経浸潤と相関を認め、IL-13Rα2が膵臓癌の神経浸潤を促進させている可能性が示唆された。この結果は現在、論文投稿中である。 ①の検討でIL-13Rα2自身が膵臓癌の浸潤、転移を促進している可能性が高いことが分かったため、このIL-13Rα2の発現を低下させることが膵臓癌の予後の改善につながるのではないかと考えた。我々の以前の検討でHDAC inhibitorがIL-13Rα2の発現を亢進することがわかっていたので、逆の働きをするHAT inhibitorがIL-13Rα2の発現を低下させると思われた。本年度の検討で健康食品中に含まれるポリフェノールの一種がIL-13Rα2の発現を低下することを見出し、膵臓癌皮下移植マウスモデルによる膵臓癌の転移抑制実験を遂行中である。しかしvitroで期待されたほどの転移抑制効果は得られていないため、今後薬の投与経路、投与量のさらなる検討が必要である。またマウスモデルに関しても膵臓癌同所モデルの方が転移を再現しやすいため、膵臓癌にGFP等の体外より評価可能なマーカーを導入しReal timeで評価できるモデルを作成中である。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
本年度までにIn vivoの実験まで終了して結果をまとめている予定であったが、適切なマウスモデルの検討や薬剤投与経路のなどの条件の選定に時間を要してしまった。次年度にIn vivoの実験を終了し結果をまとめ報告する。
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Strategy for Future Research Activity |
In vivoの実験を進行させIn vitroで得られた検討を生体で再確認する。 また並列して現在実験に用いているポリフェノール類以外にもIL-13Rα2の発現をさらに強く抑制するSmall molecule等も検討していく。 現在膵臓がんに有効な化学療法薬は限られており、副作用が少なく転移を抑制しうる薬剤はまだ見つかっていない。最終的には本研究の結果を臨床に応用すべく検討も行っていく。
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Causes of Carryover |
マウスモデルを用いたIn vivoの実験の開始に時間を要したため。全体的に実験の進行が遅延している
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
マウスモデルを用いたIn vivoの実験を行う。 また現在実験に用いている薬剤より強力にIL-13Ra2の発現を減少し、膵臓癌の転移を抑制する薬剤を検討する。
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