2014 Fiscal Year Annual Research Report
カーボンナノチューブによるワインドアップ式機械的エネルギーの貯蔵研究
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25870856
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Research Institution | Tokyo University of Science, Suwa |
Principal Investigator |
内海 重宜 諏訪東京理科大学, 工学部, 准教授 (00454257)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | カーボンナノチューブ / ナノカーボン / 捻り / 機械的エネルギー / 重量エネルギー密度 / CNT紡績糸 |
Outline of Annual Research Achievements |
エネルギーの貯蔵,輸送および携帯性に関する問題解決のため,高強度・高弾性かつ軽量という特徴を持つカーボンナノチューブ(CNT)によるワインドアップ(ねじ巻き)式の機械的エネルギーの貯蔵に着目した。シミュレーション結果によれば,捻ることでリチウムイオン電池(0.72 MJ/kg)の10倍以上の重量エネルギー密度をCNTに貯蔵できる。本研究の目的は,CNTを捻じることで貯蔵できる重量エネルギー密度を実験的に求めることである。 平成25年度の研究では,試料を捻った時に生じる引張力とトルクを測定し,貯蔵重量エネルギー密度を計算するシステムを構築した。モデル物質として用いたカーボンファイバーでは0.052 MJ/kg,ナノカーボンの一種である酸化グラフェンでは3.8×10-4 MJ/kgを得た。ナノカーボンに貯蔵できる重量エネルギー密度を実験的に得た初めての結果である。 平成26年度の研究では,測定試料として多層CNTから成るCNT紡績糸(株式会社Planet製)を用いた。様々な直径・本数のCNT紡績糸試料,さらにグル―または界面活性剤により強化した試料について,捻った回数とその時に生じるトルクおよび引張力を測定し,重量エネルギー密度を算出した。その結果,直径の細い11 umのCNT紡績糸4本を束ねた試料が最大の貯蔵重量エネルギー密度0.6 MJ/kgを示した。これはリチウムイオン電池にほぼ匹敵する。この時トルクのエネルギーの寄与が約99%であり,トルクを生じる試料の作製が不可欠である。強度のある太い直径のCNT紡績糸を使ってもこの値を超えることはなかった。直径が太くなると,径外側のひずみも大きくなり紡績糸が切れてしまうためである。グルーや界面活性剤により,貯蔵重量エネルギー密度に改善が認められた。以上の結果から,細いCNT紡績糸を束にし,強化剤を選択すれば大きな重量エネルギー密度を貯蔵でき,CNTは機械的エネルギーの貯蔵材料として有望である。
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