2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870859
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Seirei Christopher University |
Principal Investigator |
吉本 好延 聖隷クリストファー大学, リハビリテーション学部, 准教授 (60627371)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 高齢者 / 転倒 / 消防本部 / 地域間比較 |
Research Abstract |
効果的な転倒予防対策を立案するためには,各地域における高齢者の転倒状況を継続的に把握し,問題点を同定することが重要である。我が国における高齢者の転倒状況を標本調査で調査した先行研究では,各地域で開催された健康教室の参加者を対象に,転倒の発生場所・発生時期を記述的に検討した報告が行われているが,限られた地域および対象のデータであり,結果の一般化は困難であった.また,調査項目の定義が先行研究間で統一されておらず,結果の比較が困難であることや,想起法による調査方法の問題などが指摘されている.高齢者の転倒状況は,死亡者を対象にした全数調査でも調査されているが,本人が死亡しているため,詳細な転倒状況の把握は困難である.高齢者の転倒は,死亡に繋がった転倒だけでなく,死亡に至らないまでも外傷を伴った転倒も含めた新たな調査方法の開発が必要であった. 我々は,先行研究の問題点を改善する新たな転倒状況の調査方法として消防本部の救急搬送記録に着目し,救急搬送記録を用いた転倒状況の調査が可能であることや,人口の多い都市部は,それ以外の地域と比較して女性高齢者の転倒搬送件数が多いことなどを明らかにした.しかし,我々が行った先行研究は,単年度のみの調査であり,人口の少ない地域においては少数誤差変動により,転倒状況の結果が不安定であった.また,我々は全消防本部が統一した定義のもと情報収集している項目のみ調査を行ったが,転倒予防対策の立案に有効と思われるが各消防本部が独自で調査している項目については,情報収集できていなかった. 当該年度は,全国の消防本部から過去数年分の転倒情報の収集,および先行研究で調査できなかった転倒予防対策の立案に有効と思われる情報(転倒の発生原因や転倒時の天候など)を収集した.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は,全国の消防本部に研究協力を依頼し,各消防本部で収集・保存されている転倒情報を簡便・安価に収集可能な体制を確立した.我々は過去に類似の方法で,転倒情報の収集を行っているため,情報の収集は難しくないが,情報量が膨大であり,情報処理と解析には時間を要する.
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は,収集した転倒情報を解析し,①各消防本部の管轄している地域を人口規模別に分類し,各地域の転倒状況を記述統計にて調査する,②各消防本部が独自で収集・保存している転倒情報を解析し,記述統計にて明らかにする,③各消防本部の転倒状況に影響する要因を明らかにする.
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当該年度助成金は,研究チームとのカンファレンスなどの旅費に申請していたが,インターネットを用いた遠隔会議が可能な環境下であったため,旅費に請求した費用を次年度の予算として計上した. 次年度は,データ解析を行い,結果を学会や雑誌に公表する予定であるため,学会参加費や掲載費,英文校正費などに使用する予定である.
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