2014 Fiscal Year Research-status Report
近赤外線分光法を用いた歯根膜の知覚による脳活動の解析
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25870862
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Research Institution | Aichi Gakuin University |
Principal Investigator |
菱川 敏光 愛知学院大学, 歯学部, 講師 (10421249)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 脳機能測定 / ブラキシズム / NIRS |
Outline of Annual Research Achievements |
経時的なNIRSデータ再現性の検討を行った。測定時の姿勢や頭位をより一定に保ちやすい機器の整備を行った。ワイヤレス筋電図によって咬みしめ強度を測定者がモニタすることによって、測定中の被験者の体動を減らすことができた。この環境で再測定を行い、脳血流量変化の一致性の検討を行った。60秒の咬みしめでは前頭前野で血流変化を認めるものの、反復測定において特定の脳活動を示すような再現性のある変化は得られなかった。測定時の様々な誤差を軽減するため、30秒の咬みしめを3回繰り返す方法に変更し測定を行った。これを加算平均して分析することにより、ノイズの少ない結果が得られ、被験者内での反復測定ではチャンネル毎の血流量変化に一定の傾向が認められた。一方、被験者間では個人差が大きく共通性を見いだすことは困難であった。以上の結果より、NIRSを用いた脳血流測定によって覚醒時ブラキシズムによる変化を示す一般性の高い脳活動を取得することは困難であると結論づけた。 ブラキシズムの診断に有効な検査を選択する検討を行った。シリコンバイトは総咬合接触面積、咬合接触点数、咬合接触の左右差の3つを取得した。問診票の評価は5段階評価を数値化し、質問の内容からブラキシズムの種類により分類したスコアを算出した。これらスコアとシリコンバイトより得られた数値の相関を検討した。これにより安静時歯牙接触と総咬合接触面積には相関係数0.5程度の相関を認めた。このことからシリコンバイトによる接触面積の測定は安静時歯牙接触を含むクレンチングの指標の一つとなることが示唆された。 以上の結果より、NIRSをブラキシズム診断に利用する方法を再考した。被験者を問診票の集計とシリコンバイトの結果によって、ブラキシズム群と健常者群に分け、群毎に平均したチャンネル毎の血流変化を比較した。一部チャンネルでブラキシズム群での血流上昇を認めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
4: Progress in research has been delayed.
Reason
NIRS測定について、覚醒時ブラキシズムの客観的指標とするために、計測データの安定性・再現性が最重要と位置づけ、少数被験者で繰り返し測定による検討を行った。歯根膜の知覚の解析という目標に対しては、NIRSの光路上に側頭筋が介在する頭頂葉の脳血流を得るための方法として主成分分析を計画していた。このため反復測定時の血流動態について、脳活動による血流変化を示す波形を特定する必要があった。タスクの検討を重ねながら引き続き検討を行ったが、測定時の波形は個人差が大きく、また咬みしめ開始後の血流変化のタイミングにも差があり、主成分分析に必要な結果が得られなかった。NIRSを客観的な診断法として利用するには、経時的な再現性の高さ、個人間での一致率の高さ、主成分分析による前頭葉の運動野および頭頂葉の一次体性感覚野からのデータ採取が必要であり、本研究計画の核となる部分であったため、結果の分析や情報収集に長時間を費やしたことが遅れにつながった。 結果として、顎運動に最も関連が強いと考えられる前頭葉と頭頂葉にまたがる領域では脳機能測定をNIRSで行うのは困難であると考えざるを得ず大幅な研究計画の変更を必要とした。
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Strategy for Future Research Activity |
反復測定における再現性は高くはなかったが、タスクと分析方法の変更によって波形の安定度は増している。このことから、被験者を増やすことで一般的な咬みしめ時の脳活動について検索する。できるだけ多くの被験者を動員して、NIRSで測定可能な前頭前野の領域の血流動態についてデータの取得を行う。得られた測定結果は問診票とシリコンバイトを用いた診断によって、覚醒時ブラキシズム群と健常者群に分け、NIRSデータの比較を行う。特定の脳部位に血流変化が起こっている可能性を認めており、被験者数を増やすことでこれを強化する結果が得られた場合には、その血流変化を覚醒時ブラキシズムの所見として利用することができるかもしれない。しかし、被験者間での一致を求めることは難しいと考えられる。NIRSによる測定値は相対値であるために、その変化率によってブラキシズムの指標となるような指数の確立を目指す。 被験者を増やす過程で、問診票およびシリコンバイトの採取を行う。現在までに得られた、くいしばりと総咬合接触面積の関連性を多数被験者で分析することで、咬合接触の状態と自己申告によるブラキシズムの間の関連性について分析を行い、診断基準を検討する。 また、一部被験者にはfMRIによる撮像を行う。特に覚醒時ブラキシズムの有無により脳活動を比較し、変化を検索することで歯根膜の知覚について考察する。さらに、前頭前野の領域についてNIRSの結果との一致を検討することによりNIRS測定の正確性について考察し、ブラキシズムの指標となり得るか検討する。
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Causes of Carryover |
研究計画の変更のために、平成26年度にfMRI撮像を行わなかった。検討の結果、反復測定による再現性だけではなく、咬みしめによる脳活動を覚醒時ブラキシズムの有無によって比較することは、歯根膜を中心とした咬合接触の知覚について新たな知見を得ることが出来ると考えたため、平成27年度に繰り越して撮像を行う予定である。 fMRIの撮像経費として計上していた一部は、NIRS環境の整備費用として利用したが、残額があり次年度使用額が生じた。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
ほぼ全額をfMRI撮像に使用する予定である。また、成果発表にかかる費用につき、可能であれば支出する。
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