2013 Fiscal Year Research-status Report
マイクロジオデータを用いた災害時帰宅困難者対策ガイドラインに関する研究
Project/Area Number |
25870863
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Aichi Institute of Technology |
Principal Investigator |
森田 匡俊 愛知工業大学, 工学部, 研究員 (90566720)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 帰宅困難者 / 帰宅意志 / グループ帰宅 / マイクロジオデータ |
Research Abstract |
将来,大規模災害が発生した場合に備えて,各主体がどのような帰宅困難者対策を実施すれば良いのかを検証するため,愛知工業大学や一民間企業を対象として,下記のような調査分析を実施した. 1.大学構成員のマイクロジオデータの収集を行ない,帰宅困難者数推計の実践を通じた課題の洗い出しを実施した.具体的には,まず愛知工業大学新入生にアンケート調査を実施し,学生の居住地点データベースの作成を行なった.次いで,作成したデータベースを用いて,大学から居住地点までの道路距離計測を実施することで,より精度の高い帰宅困難者数の推計作業を実施した. 2.上記1で実施したアンケート調査時に,大規模災害発生時の徒歩による帰宅意志を質問した.1で計測した居住地点までの道路距離と帰宅意志との関係や,性別などの個人属性と帰宅意志との関係を明らかにした. 3.一民間企業を対象とし,帰宅困難者数推計以外の対策ニーズをヒアリング調査した.ヒアリング結果に基づき,居住地点情報から災害時に複数人で徒歩帰宅するための,徒歩帰宅グルーピング分析を実施した.分析に際してはグループ総数とグループ構成員数を制約条件とする新たなグルーピング手法の開発を行なった. なお,本研究は個人情報を伴うデータを用いて実施したものである.個人情報を伴うデータの取得や利用,公開に際しては,「愛知工業大学における個人情報保護に関する規定」に則って実施した.また必要に応じて,愛知工業大学の規定に従って設置される「個人情報保護委員会」による承認を得た上で研究を実施した.データの取扱いと管理については,研究遂行に不要な情報の削除,パスワードによるファイル保護,大学外への持ち出し禁止などの対策をとることで,細心かつ厳重な注意を払いつつ実施した.以上の対策は次年度以降も同様に実施する.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
概ね順調に進展しており,一部研究テーマ(研究実績の概要3として挙げたグループ帰宅に関するもの)は計画以上に進展している.しかし,下記2つの点について計画通りの達成度とはならなかった. 1.より精度の高い帰宅困難者数に推計に必要な季節や時間帯ごとの施設滞在者数についてのデータ取得ができなかった. 2.徒歩による帰宅の限界距離設定に関する調査.アンケート調査を実施したものの,アンケートでは限界距離を過大あるいは過小評価してしまっている可能性が残されている.
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Strategy for Future Research Activity |
まず,上記【現在までの達成度】で述べた課題1,2についての対応策を述べる. 1.施設滞在者数の把握については,授業開講期間中と休暇中との違いや,曜日による時間割の違いによって滞在者数に大きな変動のある大学における帰宅困難者数の推計で重要となる.平成26年度以降,愛知工業大学や現所属の立正大学の事務組織との調整を通じてデータ収集を実施していく. 2.これまでは徒歩による帰宅の限界の距離を,一律に10kmとして帰宅困難者数の推計を実施してきた.実際には個人属性や地域特性,災害タイプに応じて限界距離は変動するはずである.平成25年度はアンケート調査によって把握を試みたものの,アンケートでは限界距離を過大あるいは過小評価してしまっている可能性が残される.限界距離の精度向上に関しては,学生が参加する徒歩帰宅イベントや過去の災害時徒歩帰宅事例の調査を通じて把握していく. 次に,本研究計画全体に関わる変更点について述べる. 計画段階では,個別の主体として大学を主な事例としていた.しかし,昨年度の研究を通じて民間企業とのコネクションが得られた.民間企業における帰宅困難者対策には,大学とは異なる側面が多々ある.そこで,個別の主体の事例として,民間企業を加えて研究を推進していくこととする.具体的なテーマとしては,徒歩帰宅グルーピング分析の精緻化や,避難訓練を通じたグルーピング結果検証作業を進めていく.
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