2014 Fiscal Year Research-status Report
睡眠不足・喫煙が引き起こす脂質の代謝異常とその検出マーカーの探索
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25870868
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Research Institution | Nagoya University |
Principal Investigator |
宮田 聖子 名古屋大学, 医学系研究科, 寄附講座助教 (40560917)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 脂質代謝解析 / 睡眠習慣 / 喫煙習慣 |
Outline of Annual Research Achievements |
動脈硬化症は、幼少期から始まっており、若年期の生活習慣が将来の動脈硬化症の発症と関連している。近年開発された質量分析計による包括的な脂質メタボローム解析は、病態モデル動物において脂質代謝の変化から疾患発症のメカニズムを探索することを可能とした。本研究では、質量分析計を用いて脂質メタボロームを包括的に解析し、①睡眠の質・睡眠時間の脂質代謝への影響、②喫煙の脂質代謝への影響、③唾液中の脂質成分と血液中の脂質成分との比較により、唾液による検査法の確立を目指す。 本研究では、大学生を対象に、生活習慣調査、血中の炎症マーカー測定、生理的動脈硬化指標を検討した。喫煙習慣(1日喫煙本数および喫煙年数)、睡眠時間、不眠・過眠症上、運動習慣(1回の運動時間と1か月間の運動日数)、飲酒習慣(1回の飲酒量と1か月間の飲酒日数)を調査した。不眠および過眠症状の調査には、それぞれピッツバーグ睡眠質問票およびエプワース眠気尺度を利用した。睡眠時間は、調査紙による自覚的睡眠時間と24時間行動記録計を用いて評価した。 脂質メタボローム解析手法を検討した結果、より簡便で大量検体の処理可能な膜表面抽出法を用い測定することとなった。 非喫煙者と喫煙者、および喫煙前後の動脈硬化指標を検討した。若年者においては、非喫煙時、喫煙者と非喫煙者では動脈硬化指標に有意な差を認めなかった。しかし、喫煙後には動脈硬化指標が悪化し、若年者であっても喫煙により血管機能が障害されることを証明した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成26年度は、研究者の異動と研究体制の再構築、ならびに測定機器の故障で研究にやや遅れが生じた。しかし、年度後半には、機器の修理が終了し、検体の測定を開始することができ、これまでの遅れを取り戻せるよう努力している。
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Strategy for Future Research Activity |
膜表面抽出法による脂質メタボローム解析を進めていく。同一被検者において、唾液と血液を脂質メタボローム解析することにより、より侵襲性の少ない唾液により脂質代謝変動を捉えることが可能かどうか検討していく。睡眠不足時と自然睡眠時とを比較することにより、睡眠時間の脂質代謝への影響を明らかにしていく。さらに、喫煙者における脂質メタボロームを非喫煙者および喫煙後のそれらと比較することにより、喫煙の脂質代謝への影響を明らかにする。
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Causes of Carryover |
測定に使用する機器が故障したため、測定が中断し消耗品類を購入することができなかった。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成26年度に測定する計画であったものを優先的に進め、そのための消耗品購入に使用する予定である。
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Research Products
(6 results)