2013 Fiscal Year Research-status Report
アレルギー性鼻炎の病変局所における特異抗体産生細胞の可視化:「酵素抗原法」の応用
Project/Area Number |
25870873
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fujita Health University |
Principal Investigator |
尾之内 高慶 藤田保健衛生大学, 医学部, 助教 (20632954)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 酵素抗原法 / コナヒョウヒダニ / ヤケヒョウヒダニ / スギ花粉 / 特異抗体産生細胞 |
Research Abstract |
アレルギー性鼻炎の病変局所に浸潤する形質細胞が産生する抗体の対応抗原やその浸潤意義は明らかでない。本研究は、ビオチン標識した抗原を凍結組織切片に反応させて、組織内に分布する特異抗体産生細胞を可視化する酵素抗原法を用いて、アレルギー性鼻炎の病変局所に浸潤する特異抗体産生細胞の可視化と浸潤意義の解明を目的として実施している。 平成25年度は、初めにコナヒョウヒダニ抗原(Der f1, Der f2)、ヤケヒョウヒダニ抗原(Der p1, Der p2)、スギ花粉抗原(Cry j1, Cry j2)のビオチン標識抗原の作製および、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉粗抽出液免疫ラットの作製を行った。その後、酵素抗原法がコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉特異抗体産生細胞を可視化できることを確認するため、粗抽出液免疫ラットリンパ節を対象とした酵素抗原法を行った。その結果、酵素抗原法で、コナヒョウヒダニ抗体(Der f1, Der f2)、ヤケヒョウヒダニ抗体(Der p1, Der p2)産生細胞を可視化することができたが、スギ花粉抗体(Cry j1, Cry j2)産生細胞を可視化することはできなかった。酵素抗原法でスギ花粉抗体産生細胞を可視化できなかった原因として、スギ花粉粗抽出液免疫ラットのスギ花粉抗体価が上がっていなかったことが考えられた。抗原抗体反応を簡便かつ高感度に検出するAlphaScreen法を用いて、スギ花粉粗抽出液免疫ラットのリンパ節組織抽出液中のスギ花粉抗体価を測定してみたところ、スギ花粉抗体価は上がっていなかった。このことより、スギ花粉の免疫方法に問題があったことが明らかとなった。 また、アレルギー性鼻炎の病変局所を対象とした解析に用いるアレルギー性鼻炎の病変組織と血清を20症例集めた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
平成25年度までに、酵素抗原法でコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉抗体産生細胞を可視化できることを確認するための動物実験を全て終了する予定であった。しかし、スギ花粉免疫方法に問題があり、スギ花粉免疫ラットのスギ花粉抗体価を上げることができず、酵素抗原法でスギ花粉抗体産生細胞を可視化できることを確認できなかった。そのため、免疫するスギ花粉抗原の状態(花粉そのもの、粗抽出液、精製抗原液)や、免疫アジュバントを変更するなどして、再度、スギ花粉免疫ラットを作製する必要がある。それゆえ、当初の計画より進展がやや遅れていると考えている。
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Strategy for Future Research Activity |
本研究計画の目的は、アレルギー性鼻炎の病変局所に浸潤する特異抗体産生細胞の可視化と浸潤意義の解明である。 平成26年度は、平成25年度までに終了できなかった動物実験と、アレルギー性鼻炎の病変組織と血清を用いた解析を行う。抗原抗体反応を簡便かつ高感度に検出するAlphaScreen法を用いて、アレルギー性鼻炎の病変組織抽出液と血清中のコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉抗体の存在を調べる。そして、AlphaScreen法でコナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉抗体の存在を確認した症例の病変組織を対象とした酵素抗原法を行う。さらに、ビオチン標識コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉抗原と抗ヒト免疫グロブリン抗体による免疫蛍光二重染色法を行い、抗アレルゲン抗体の免疫グロブリンクラスを同定する。得られたデータを臨床的な特徴(症状、発症季節、罹病期間)と照らし合わせて、臨床病態との関連性を探る。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画では、動物実験は平成25年度で全て終了する予定であった。コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ免疫ラットはうまく作製され、目的とする研究データを得ることができた。しかし、スギ花粉免疫ラットはスギ花粉の免疫方法に問題があり、スギ花粉免疫ラットをうまく作製することができず、目的とする研究データを得ることができなかった。そのため、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉免疫ラットの実験データをまとめた学会発表、論文発表をすることができなかった。 また、動物実験が当初の研究計画より長引き、予定通りに終了することができず、次の研究段階であるアレルギー性鼻炎の病変組織の解析に移ることができなかった。 平成26年度は、平成25年度にやり終えることができなかったスギ花粉免疫ラットの解析を終えて、コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニ、スギ花粉免疫ラットの研究結果をまとめた学会発表や論文発表を行い、平成25年度に使用しなかった分の助成金を使用する。 その後、アレルギー性鼻炎の病変組織を対象として、研究計画書に従った解析(AlphaScreen法、酵素抗原法、免疫蛍光二重染色法など)を行い、平成26年度に計上した助成金を予定通りに使用する。
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