2013 Fiscal Year Research-status Report
人道的介入の実践における倫理/非倫理の類型化-〈奪命の倫理〉探求の準備研究
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25870877
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
大庭 弘継 南山大学, 総合政策学部, 講師 (00609795)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 国際政治学 / 人道的介入 / 保護する責任 / 奪命の倫理 |
Research Abstract |
平成25年度は、現地調査、研究報告、論説の執筆を中心とした研究を行った。 まず現地調査については、コンゴ民主共和国ならびに旧ユーゴスラヴィア諸国(セルビア共和国、ボスニア・ヘルツェゴヴィナ国、コソボ共和国)において、学者、行政官、学生、難民/国内避難民、帰還民、各種NGOなどを対象に、インタビューを中心とした調査を行った。現地調査の結果、コソボでNATOの直接支援を受けた人々を除き、インタビュー対象のほとんどの人々が国連を中心とした国際社会に対して不満を抱いていることが判明した。コンゴにおいては「治安改善に寄与していない」「金儲けに来ている」といった批判や、旧ユーゴにおいては「国連軍はただそこにいただけで、家族を守ってくれなかった」「(財産収奪を訴えたところ)些細なことだといわれた」といった批判が聞かれた。国際社会としては、内戦下で対立する人々の片一方に肩入れすることはできない。それゆえ、国際介入の正当性は、ほぼ必然的に不満の声を抱え込むことになることが改めて確認できた。 次に研究発表については、日本平和学会の2013年度秋季研究集会において、コンゴ民主共和国での調査を踏まえた「平和維持のダブル・バインド――対立する二つの『民間人保護』」と題した報告を行った。この報告などをまとめた論稿として、「人道的介入 - 避けられない非人道性」(小松志郎氏との共著、収録文献『国際政治のモラル・アポリア』ナカニシヤ出版、2014年5月予定)が刊行される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度は、成果刊行物(『国際政治のモラル・アポリア』ナカニシヤ出版、2014年5月)の刊行ずれ込みもあるが、調査並びに報告・執筆は概ね順調であるといえる。 また昨年度実施したインタビューの概要については、『時報しゃりんけん』(南山大学社会倫理研究所、2014年6月刊行予定)に、「コンゴ調査報告」(仮称)ならびに「旧ユーゴ調査報告」(仮称)として掲載の予定であり、成果物の執筆も順調である。
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度は、被介入側についての証言を現地調査において入手することができた。しかし介入側についての証言が不足しているため、平成26/27年度において、インタビューを含めた現地調査をさらに行いたい。 また本研究の成果の報告と刊行も同時並行で進め、学会報告並びに論説の刊行を次年度も積極的に行う所存である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度3月後半に行った旧ユーゴ調査の際の現地における謝金にかかる精算処理を帰国後の4月に行うこととなったため、次年度使用額が生じた。 すでに旧ユーゴ調査での謝金にかかる精算処理を行っており、本報告執筆時点において、次年度使用額については処理されている。
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