2015 Fiscal Year Annual Research Report
フランス型放課後活動支援と社会統合のあり方に関する研究
Project/Area Number |
25870878
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Research Institution | Nanzan University |
Principal Investigator |
小林 純子 南山大学, 外国語学部, 准教授 (00611534)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 放課後 / 余暇 / フランス |
Outline of Annual Research Achievements |
平成27年度の研究では、パリ市の親に対する聞き取りを通じて親の放課後活動に対する期待、放課後活動の評価、放課後活動の利用の動機、他の親との情報交換、親が放課後活動とどのように関わっているか、それは親の社会的出自や親自身の余暇活動とどのように関連しているかを調査した。この調査の分析から、第一に、子どもの余暇活動の特徴と、余暇活動と放課後活動との関係を浮かび上がらせることができた。第二に、親の余暇活動に対する考え方と、余暇活動に関する客観的調査の比較から、子どもの余暇活動や放課後活動をめぐる格差は、制度的な格差だけでなく、意識的な格差からも生じていることが明らかになった。 研究期間の全体を通じて、本研究はフランス型放課後活動支援の実態を明らかにし、共生の場や社会統合の場として放課後活動が機能するための条件を検討した。そこでは、アニマトゥールという専門職員やさまざまなアソシエーションとともに、自治体が放課後活動支援における中心的な役割を果たしつつ、活動を発展させている様相を浮かび上がらせることができた。同時に、フランスの放課後活動支援は、すべての子どもに平等に開かれたものとして異なる社会的背景を持つ子どもが共に社会化されるような社会統合の場の形成という役割をもっているが、制度そのものが内包する格差や、親の意識を反映した格差によって、その役割が充分に果たされておらず、その点の克服を課題として残していることも明らかにした。
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