2014 Fiscal Year Annual Research Report
量子ドット積層技術による半導体ナノワイヤ構造の形成と物性解明
Project/Area Number |
25870885
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Research Institution | Toyota Technological Institute |
Principal Investigator |
大森 雅登 豊田工業大学, 工学(系)研究科(研究院), 研究員 (70454444)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | ナノワイヤ / 量子ドット / 分子線エピタキシー |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究の最終年度である平成26年度では、量子ドット積層型のAlGaAs/InAsナノワイヤ1本のみを含む素子を複数作製し、その電気伝導特性の評価を行った。試料温度約8Kにおいて、電気伝導度が5~30μSと量子化コンダクタンス(77μS)に近い値が得られ、ナノワイヤの量子化伝導が示唆される結果を得た。また、カーボンナノチューブなど他のナノワイヤと同様に試料温度を上昇させると電気伝導度が増加する現象も確認できた。さらに、ナノワイヤ直上に電子に対し障壁で正孔に対し井戸となるGaSb量子ドットを形成させ、これらをn型GaAs電極で挟んだn-i-n型のType-II光検出器の作製を評価も行った。素子の電流電圧特性の温度依存性から、GaSb量子ドットの電子に対する障壁の高さは約65meVであることを見出し、液体窒素温度以下であれば障壁として十分機能し暗電流を低く抑えられることが分かった。この素子の微弱光照射実験を試料温度35Kで行ったところ、正孔1個1個の蓄積に対応するステップ状の明瞭な電流増加を観測した。電流増加量は5~10pAと大きく、高感度な単一光子検出が期待できる結果である。 InP基板上に格子整合したIn(Al)GaAs材料を用いたナノワイヤ形成に関する研究にも取り組んだ。この材料系では歪補償法が適用できるため、100層以上の多層積層が可能なことに加え、InGaAsで1.6μmの波長まで光を吸収できるため、赤外光検出器への応用が期待される。通常、InGaAs上にInAs量子ドットを形成させようとすると、長細いダッシュ状の構造となり円柱状のナノワイヤ形成が困難だが、本研究ではGaSb量子ドットを最初に形成する種量子ドットとして採用することでこれを解決した。これまで、断面TEM観測の結果から良好なナノワイヤ構造が得られており、電気伝導測定と光学測定による物性評価に加え赤外用単一光子検出器の作製も進めている。
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