• Search Research Projects
  • Search Researchers
  • How to Use
  1. Back to project page

2013 Fiscal Year Research-status Report

ベトナムのシングル女性と福祉に関する人類学的研究

Research Project

Project/Area Number 25870889
Research Category

Grant-in-Aid for Young Scientists (B)

Research InstitutionKyoto University of Foreign Studies

Principal Investigator

伊藤 まり子  京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70640887)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2016-03-31
Keywordsベトナム / 宗教組織 / シングル / 女性 / 社会福祉 / コミュニティ / 親密圏 / 国際情報交換
Research Abstract

本研究の課題は、第一に、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)における宗教組織の活動実態を、社会福祉運動としての側面に着目して考察することであり、第二に、ベトナム社会におけるシングル女性の生活世界を明らかにすることである。ベトナム社会の宗教組織とシングル女性をテーマとする研究はいずれも未開拓領域であり、本研究では、福祉をキーワードに、父系原理が強調される社会においてしばしば「周縁化」されてきたシングル女性が、宗教組織を基盤とする社会福祉的な活動を通じて、いかに社会参画しているのかを検証していくことを目的としている。
初年度である25年度は、国内における文献調査および研究対象地における文献収集が活動計画の主軸であった。国内では、国立民族学博物館を中心に、主に人類学、社会学における福祉やケアといったキーワードに関連する文献資料を収集、整理した。近年は、東南アジア大陸分における当該分野の研究が盛んに取り組まれ、各地域社会における実態が明らかとなっている。それらを整理、分析をすすめ、最終的には本研究で得られたベトナムのデータとの比較検討をおこなうことで、ベトナムにおける社会福祉運動の特徴を浮き彫りにすることが可能となると考えている。
次に、研究対象地における文献調査では、従来の女性研究に関する研究誌を収集し、女性と宗教とのかかわりと、シングル女性に関する論考の整理、考察をおこなった。いずれもベトナムにおける研究分野としては未開拓領域である、研究の蓄積も浅いが、今後も続けることで、既存研究の傾向を精査していきたい。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.

Reason

近年、東南アジアに地域社会を対象とした同様の研究が盛んに取り組まれており、本研究課題が対象とするベトナムとの比較検討をすすめるうえで有用な事例研究の整理が進めやすかったことが、研究課題の進展に反映したと考えられる。
また、ベトナムにおける女性研究の学術誌を入手したことによって、当該地域における女性研究の傾向が可能となると考えており、今後も文献研究を継続していく重要性を実感している。
これらの点を鑑みて、次年度から計画しているフィールド調査を実施するための準備である文献調査は、おおむね順調に進展していると考えることができる。

Strategy for Future Research Activity

本研究課題の2年次となる26年度は、昨年度に引き続き文献調査を継続しながら、ベトナムのホーチミン市とハノイ市におけるフィールド調査を実施する予定である。
昨年度は、8月と2月に、それぞれ約2週間ずつのフィールド調査を実施した。本年度は、8月、9月、2月、3月に、フィールド調査を実施し、より具体的に聞き取りおよび参与観察に取り組む予定である。そこでは、①国家の宗教政策に基づいた宗教組織とその社会福祉活動に対する位置づけと歴史的変遷、②各組織について(組織体系、運営資金の獲得手段と運用、所有施設の有無、活動形態等)、③活動内容1(宗教的実践:教義解釈、礼拝、瞑想、読経、儀礼参加等)、④活動内容2(社会福祉的活動:医療、教育活動、菜食レストラン経営、災害支援等)、⑤構成メンバーの把握(出身地、家族構成、活動歴、入信・入会の動機、組織のなかの役職等)、⑥ 構成メンバーのライフヒストリーの記録、⑦ 構成メンバーの出身村落との関わりの把握(出身村落における祖先崇拝や、家族、親族内での位置づけ)を、それぞれの宗教コミュニティの代表者および一般の信者たちに対する聞き取りを通じて把握していくこと、また調査終了後は、収集したデータを速やかに分析し、文献調査で得られた既存研究の傾向と比較しながら、論文執筆に取り組んでいく予定である。

Expenditure Plans for the Next FY Research Funding

物品費に関しては、予定であったノートパソコンの購入を先送りにしたため、また旅費に関しては、フィールド調査で使用した額が、予定額より少なかったため、次年度の使用に繰り越しとした。他方、文献調査において購入予定であった文献資料を、研究対象の各宗教コミュニティからの譲渡によって無償で入手できたことにより、関連資料の購入費も次年度への繰り越しとなった。
26年度は、8月、9月、2月、3月の4回のフィールド調査を、それぞれ3週間から4週間の日程で予定している。また、そのための機材としてノートパソコンを購入し、現地での資料収集の整理および分析に使用することを計画している。

  • Research Products

    (2 results)

All 2013

All Journal Article (1 results) Presentation (1 results)

  • [Journal Article] 「オルタナティブ親密圏」の可能性に関する一考察―ベトナム北部地域都市の宗教コミュニティに集う女性たちの経験と語り2013

    • Author(s)
      伊藤まり子
    • Journal Title

      多民族社会における宗教と文化

      Volume: 16 Pages: 27-51

  • [Presentation] はぐらかす応答、再編される道徳性-ベトナム北部地域の宗教コミュニティにおける「逸脱した」態度をめぐって-2013

    • Author(s)
      伊藤まり子
    • Organizer
      日本文化人類学会
    • Place of Presentation
      慶応義塾大学
    • Year and Date
      20130608-20130609

URL: 

Published: 2015-05-28  

Information User Guide FAQ News Terms of Use Attribution of KAKENHI

Powered by NII kakenhi