2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25870889
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Research Institution | Kyoto University of Foreign Studies |
Principal Investigator |
伊藤 まり子 京都外国語大学, 外国語学部, 非常勤講師 (70640887)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 宗教組織 / 女性 / シングル / ライフヒストリー / 福祉 / ベトナム社会 / 比較 / 文化人類学 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究課題は、二つの異なる目的から構成されていた。一つ目は、ベトナム社会主義共和国(以下、ベトナム)における宗教組織の活動実態を、社会福祉運動としての側面に着目して考察することである。二つ目は、ベトナム社会におけるシングル女性の生活世界を明らかにすることである。本研究課題では、福祉をキーワードに、父系原理が強調される当該社会においてしばしば「周縁化」されてきたシングル女性が、宗教組織を基盤とする社会福祉運動を介して、いかに社会参画しているのかについて検証した。 計画では、代表者が従来調査に取り組んできたカオダイ教系宗教組織「ハノイ聖室」に加えて、ハノイの仏教系女性NGO組織(積徳会)と、ホーチミン市の2つのカオダイ教組織(大道教理布教協会、バンチンダオ派ドウタイン聖室)とを対象にして、以下の調査項目(①国家の宗教政策に基づいた宗教組織とその社会福祉活動に対する位置づけと歴史的変遷、②各組織について(組織体系、運営資金の獲得手段と運用、所有施設の有無、活動形態等)、③活動内容1(宗教的実践:教義解釈、礼拝、瞑想、読経、儀礼参加等)、④活動内容2(社会福祉的活動:医療、教育活動、菜食レストラン経営、災害支援等)、⑤構成メンバーの把握(出身地、家族構成、活動歴、入信・入会の動機、組織のなかの役職等)、⑥構成メンバーのライフヒストリーの記録、⑦構成メンバーの出身村落との関わりの把握(出身村落における祖先崇拝や、家族、親族内での位置づけ)について)を調査し、シングル女性の現実世界を明らかにする予定であった。しかしながら、積徳会に関しては調査許可の取得の面で困難が生じたため対象から外し、カオダイ教系組織に集中して調査を実施することとなった。その結果ベトナムの北部地域と南部地域それぞれにおける当該組織とシングル女性の関わりの違いを比較分析するうえで、一定の資料を収集することができた。
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Research Products
(4 results)