2015 Fiscal Year Annual Research Report
ムスカリン受容体の腸管運動制御におけるATP感受性Kチャネルの役割とその分子実態
Project/Area Number |
25870891
|
Research Institution | Kyoto Sangyo University |
Principal Investigator |
棚橋 靖行 京都産業大学, 総合生命科学部, 准教授 (60582418)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ATP感受性Kチャネル / ムスカリン受容体 / 腸管運動 / 平滑筋細胞 / 細胞内情報伝達分子 / SKF96365 / 陽イオンチャネル / 電位依存性Kチャネル |
Outline of Annual Research Achievements |
腸管平滑筋の収縮制御には内在性神経から放出されるアセチルコリンとその受容体であるムスカリン受容体が主要な役割を果たしている。同受容体が刺激を受けると筋は興奮、収縮する。この現象は平滑筋細胞やカハール細胞に発現する各種イオンチャネルの活性が変化することにより起こる。本研究は腸管に発現するATP感受性Kチャネル(KATPチャネル)に着目し、その分子実態、薬理学的性質、腸管平滑筋の収縮制御における役割を明らかにするものである。 本年度は特に、ムスカリン受容体によるKATPチャネル活性の調節機構について検討した。得られた成果は以下の通りである。 マウス腸管平滑筋細胞において、KATPチャネル開口薬であるクロマカリムによりKATP電流を発生させながら、ムスカリン受容体作動薬であるカルバコールを適用した時の電流変化をパッチクランプ法により記録した。同細胞にカルバコールを適用すると、KATP電流のアンプリチュードが徐々に減少したことから、同チャネルの活性はムスカリン受容体により抑制性に制御されていることが明らかとなった。また、M2、M3各ムスカリン受容体サブタイプ欠損マウスから単離した細胞において同様の実験をそれぞれ行い、同抑制反応には主にM3サブタイプが関与していることも明らかにした。さらに、M3サブタイプ以降の細胞内情報伝達機構について検討するために、Ca2+、G蛋白質、PLCなどの各種細胞内情報伝達分子に対する阻害薬をそれぞれ処置した細胞において、カルバコール誘発性KATP電流抑制反応を記録した。その結果、M3作動性KATPチャネル抑制機構にはGq蛋白質およびPLCが関与しており、同機構はCa2+に対する依存性が低いことが示唆された。同抑制機構は陽イオンチャネルの開口とともに膜の脱分極に寄与していると考えられる。 昨年度明らかにしたSKF96365による小腸平滑筋のKATPチャネルおよび電位依存性Kチャネルの抑制効果については学術論文にて公表した。
|