2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870896
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
緑川 光春 同志社大学, 高等研究教育機構, 助教 (60632643)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 開口放出 / エンドサイトーシス / シナプス / 国際研究者交流 |
Research Abstract |
ラットカリックス型シナプスにおける異なるサブタイプのカルシウムチャネルがエンドサイトーシスに果たす役割について、膜容量測定法を用いて調べた。実験の結果、幼若期においては3種類のカルシウムチャネル(P/Q型、N型、R型)のうちR型が主にエンドサイトーシスを制御しており、非常に強い刺激を与えた場合にのみP/Q型によって制御されるエンドサイトーシスが顕著に表れることが明らかになった。また、成熟期になるとエンドサイトーシスの制御機構が変化し、P/Q型カルシウムチャネルによって制御されるエンドサイトーシスが支配的になった。この成果は論文として成果をまとめ、現在投稿中である。 また、シナプス小胞タンパク質の1種であるシナプトタグミンを蛍光標識した抗体(syt2-cypHer)で蛍光標識し、膜容量測定法と光学的測定法を組み合わせることによって細胞内のシナプス小胞やシナプス小胞関連タンパク質の動態を測定する実験を行った。実験の結果、刺激の条件によって細胞膜自体の細胞内への再取り込みとシナプス小胞タンパク質の細胞内への再取り込みの時間経過が異なる場合がある可能性を示すデータが取れつつある。 光学的測定法に関しては、さらに詳細に観察するために全反射蛍光顕微鏡の適用も開始しており、カリックス型シナプスからの単一シナプス小胞の動態および開口放出の可視化に成功しつつある。 これらの研究は、シナプス小胞が開口放出されたあとにエンドサイトーシスによって細胞内に再び取り込まれ、その後再び再利用されるまでの実態を明らかにするとともに、このメカニズムにカルシウムチャネル、あるいはシナプス小胞タンパク質がどのように関与しているのかを解明するのに貢献できるものであると考えられる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
幼若期のカリックス型シナプスにおける3種類の異なるサブタイプのカルシウムチャネルの役割については、膜容量測定法を用いた研究によって、伝達物質放出機構との関係を示すことにすでに成功した。 開口放出関連タンパク質の動態を観察する計画に関しても、蛍光標識した抗体を用いることによって、生きた細胞においてシナプス小胞タンパク質がどのような時間経過によって細胞表面からシナプス小胞内へと再取り込みされるのかを測定することにすでに成功している。 また、開口放出部位と開口放出関連タンパク、およびカルシウムチャネルとの位置関係を検討する計画に関しても、すでに単一シナプス小胞の開口放出部位を光学的に測定することに成功している。 これらの進展状況から、当初の計画以上に進展していると判断する。
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Strategy for Future Research Activity |
まず、シナプス小胞に存在する開口放出関連タンパク質の動態を明らかにすることを目指す。これらのタンパク質は開口放出によって細胞表面に移行し、エンドサイトーシスによって再取り込みされるが、その時間経過が細胞膜自体の再取り込みと比較してどうなっているのか、刺激の強度に応じてどう変化するのか、また、その仕組みを制御している分子的基盤は何であるのかを明らかにしていく。 また、開口放出部位と開口放出関連タンパク質、カルシウムチャネルの位置関係を生きた細胞において実時間で測定し、シナプス小胞が開口放出されるまでのの細胞内での動態、およびその時空間分布について明らかにしていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
本研究計画に必要とする光学的測定機器を購入した結果少額の残額が生じ、翌年度に繰り越した方が有意義に活用できると考えたために繰り越しを決めた。 本年度の実験計画に必要とする物品および消耗品の購入に充てる予定。
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