2013 Fiscal Year Research-status Report
農・食・地域をつなぐ空間―アメリカ合衆国ファーマーズマーケットの持続可能性
Project/Area Number |
25870897
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Doshisha University |
Principal Investigator |
二村 太郎 同志社大学, アメリカ研究所, 助教 (50580817)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | アメリカ合衆国 / デトロイト / ファーマーズマーケット / ローカルフード |
Research Abstract |
本研究は、アメリカ合衆国においてローカルフードを入手する場であるファーマーズマーケット(農産物直売市)と地域社会の関係の重層性を、連邦・州・都市(郡)およびコミュニティ・レベルのマルチ・スケールで解明することを目指す。アメリカのファーマーズマーケットはこの十数年で全国的に急増し、多くの都市で開催されるようになり、地域社会に着実に定着しつつある。この背景には、1)州政府による小規模農家支援を軸とした農業振興策、2)新鮮で安全な農産物を欲する消費者の要求、3)低所得コミュニティへの食料供給など重層的な要因がある。本研究はファーマーズマーケットと地域社会の結びつきを解明することにより、アメリカ社会における安定的な食料供給および食を通じた社会正義の追求の持続可能性を明らかにすることを目的とする。 平成25年度は研究全体の基盤を確保するために、先行研究の整理と資料収集を行った。また、主たる研究対象地域の一つであるミシガン州デトロイト市およびその周辺都市にて現地調査を行い、様々なファーマーズマーケットにおいて聞き取り調査を行った。その結果、デトロイト市内では複数のNPOが協力しながら市内各地でマーケットを開催しており、その主たる購買客層もマーケットの立地や規模に応じて大きく異なることが明らかになった。中でも低所得層を主要な客層としているファーマーズマーケットでは食料配給券(フードスタンプ)で買い物ができるよう工夫されている様子が伺えた。さらに、デトロイト市では中心市街地の外縁部が当初想像していた以上に空き地・放棄地となっており、市内の各所で菜園が見られたものの、数エーカーの規模で展開している農場はほとんど存在しないことがわかった。また、周辺都市では独自の敷地や屋根付き施設を利用しているファーマーズマーケットもあり、多様な形態であることが確認された。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
本研究を申請した当時には想定していなかった学内外の業務が研究課題採択前より始まり、夏以降までそれに時間を取られて、予定していただけの現地調査が十分行えなかった。これは残り2年間で挽回していきたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
本研究では引き続き文献や資料の収集と研究動向の整理を進めるとともに、現地調査を集中的に行うことで各地のファーマーズマーケットが抱える課題を明らかにしていきたい。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
申請書に挙げていた項目のうち、論文執筆が予定通り進まず英文校閲への経費執行がなかったため。 2年目も継続して現地調査を集中的に実施するとともに、積極的に論文を書いて前年度に予定していた分を執行するようにする。
|