2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870904
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
落合 淳思 立命館大学, 文学部, 助教 (20449531)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 字源研究 / 漢字の成り立ち / 甲骨文字データベース / 全文検索 / 甲骨文字 |
Research Abstract |
平成25年度には、以下の四つを中心に研究を行った。 ①論文「甲骨文字の字種整理」……甲骨文字は、現在の漢字と異なり一つの文字に多様な字形が併用されていた。本稿は、それをデータベース化する際に必要な字釈を中心にした文字整理法を述べたものである。 ②論文「甲骨文字の部首とその字源」……甲骨文字の部首は現代の漢字の部首とは異なるが、これまではその分類が効率的ではなく、また若干の誤解があったため、それを整理し、また字形の起源を述べた。これは、平成27年度に製作する甲骨文字辞典の文字配列を決定するためにも必要な研究である。なお、すでに執筆・審査は終えており、平成26年度に公刊予定である。 ③甲骨文字のデータベース製作……既存の索引である『殷墟甲骨刻辞類纂』(姚孝遂主編)に掲載されていない拓本集を中心にデータベース化を行った。このデータベースは、全文から文字や単語を検索できるシステムにしており、すでにweb上で公開し(http://koukotsu.sakura.ne.jp/top.html)、誰でも使用可能になっている。 ④一般向けの字源解説書……研究計画の一部であった一般向けの字源解説書は、『漢字の成り立ち』と題して筑摩書房から出版される。日本における字源研究は、約30年前を最後に停滞しており、それ以後の研究がほとんどなかった。本書は、かつての字源研究について不備があった部分を指摘し、今後の字源研究のあり方を述べたものである。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
前述の四つの研究のうち、①と②は平成25年度の研究計画であり、予定通り完了した。また、③は平成25~26年度の研究であるが、ほぼ予定通り進行している。④については、平成26年度の研究予定であったが、平成25年度に執筆・校正を終えており、平成26年度の初めに出版される。 なお、平成26年度には、論文として「殷代の発音体系」を公刊する予定だったが、調査の結果、その研究の基礎となる上古音が未確定であり、確実な研究は困難であることが判明した。そのため、前述の『漢字の成り立ち』の第四章に仮説として提示するにとどめた。
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Strategy for Future Research Activity |
今のところ、研究は順調に進んでおり、今後も基本的には計画通り進めていくことになる。なお、本研究は当初計画から予算が削減されているが、データベースについて全ての甲骨文字をデジタルデータ化せず、既存の索引である『殷墟甲骨刻辞類纂』に掲載されているものはデータを簡略化し、テキストデータだけを作成することで予算削減分に対応する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
4625円は当該年度で使用しきれなかった端数である。 平成26年度に繰り越して設備備品費として使用する。使途は字源研究関連図書の購入である。平成26年度全体としては、設備備品費(字源研究関連図書)、消耗品費(プリンタトナー)、謝金(甲骨文字データ入力として)、その他(複写費・サーバレンタル費・甲骨文字検索システム発注)などに使用する。
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