2013 Fiscal Year Research-status Report
GM1ガングリオシド発現抑制能を有するアミロイドβ蛋白重合体形成抑制物質の探索
Project/Area Number |
25870906
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hokuriku University |
Principal Investigator |
山本 直樹 北陸大学, 薬学部, 講師 (90393157)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | アルツハイマー病 / GM1 ガングリオシド / 神経細胞 |
Research Abstract |
1. 初代培養ラット大脳神経細胞に脳内移行性薬物を投与し、神経細胞に発現したGM1をコレラトキシンBサブユニット(GM1を特異的に認識)で細胞全体のGM1ガングリオシド発現を調節する物質をスクリーニングした結果、ベンゾジアゼピン系麻酔薬のミダゾラム及びレプチンを見いだした。 2. GM1発現を調節する物質の作用機序を、GABAa受容体の阻害剤を用いて検討した結果、GABAa受容体の阻害剤によって上記1.の効果が抑制された。また、ラフト領域を単離し、GM1ガングリオシド量を検討したところ、ミダゾラム及びレプチンによって減少しており、その効果はやはりGABAa受容体阻害剤で抑制された。これらの現象について、ヒトの大脳及び海馬由来の初代培養神経細胞を用いて検討するため、現在注文している。 3. ミダゾラムによって、神経膠細胞のアミロイドβ蛋白(Aβ)の分解に影響するのかどうかを検討したが、脳内の主要なAβ分解酵素であるネプリライシン及びインスリン分解酵素の発現には影響は見受けられなかった。 4. ミダゾラム及びレプチンがAβ線維体形成に与える影響について、反応条件下にGM1発現調節物質を加え、チオフラビンT(Aβ線維を特異的に認識する試薬)によるAβ線維体検出法で重合体形成について検討した結果、Aβ線維体形成が抑制されることが分かった。 5. ミダゾラムが、初代培養ラット大脳神経細胞のタウ蛋白のリン酸化に影響するのかどうかを検討した結果、タウ蛋白のリン酸化に影響を与えるGSK3βのリン酸化にミダゾラムは影響を与えたが、タウ蛋白のリン酸化には影響を与えないことを明らかにした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の当初の研究実施計画にあったヒト由来の初代培養神経細胞による検討以外は、順調に遂行することができている。また、本研究計画を発展させるために学会に参加し情報収集することで、当初の研究計画には無かった研究事項も加えて遂行することができている。以上のことから、上記区分を選択した。
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Strategy for Future Research Activity |
1.初代培養ラット大脳神経細胞に様々な物質を投与し、神経細胞に発現したGM1をコレラトキシンBサブユニット(GM1を特異的に認識)でGM1発現及び分布(ラフト領域)を調節する物質を引き続きスクリーニングする。また、今年度遂行することができなかったヒトの大脳及び海馬由来の初代培養神経細胞を用いて、GM1の発現変化を検討する(ヒト由来の神経細胞は、市販品を使用)。さらに、GM1発現を調節する新規の物質の作用機序を、既知の細胞内シグナル伝達系(PI3 kinaseなど)の阻害剤を用いて検討する。 2.新規GM1発現調節物質がAbeta線維体形成に与える影響について、反応条件下にGM1発現調節物質を加え、チオフラビンT(Aβ線維を特異的に認識する試薬)によるAbeta線維体検出法で重合体形成の抑制を検討する。この検討の際に作製した反応液を初代培養神経細胞に投与し、Lactate dehydrogenase(LDH;細胞死マーカータンパク質)放出法で毒性評価をミダゾラムを含めて行う。 3.ミダゾラム及び新規GM1発現調節物質を投与した神経細胞表面からのAbeta重合体形成に与える影響を、チオフラビンS(Abeta線維を特異的に認識する試薬)染色法を用いて検討する。 4.上記結果について、in vivo評価が可能かどうかを、投与量等について検討し、上記の結果を踏まえて、老齢野生型マウスでGM1発現調節物質の影響を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究実施計画が、ミス無く順調に行うことができたこと。また、当初予定していたヒト由来初代培養神経細胞による検討が行えなく、それに伴ってヒト由来初代培養神経細胞購入費が次年度使用額に計上された。さらに、本研究代表者が所属変更となり、本研究の移動に少し時間を取られたため。 1. 本年度に引き続き、初代培養ラット大脳神経細胞に様々な物質を投与し、神経細胞に発現したGM1をコレラトキシンBサブユニットでGM1発現及び分布を調節する物質をスクリーニングする。また、今年度検討できなかったヒトの大脳及び海馬由来の初代培養神経細胞を用いて、GM1の発現変化を検討する。さらに、GM1発現を調節する物質の作用機序を、既知の細胞内シグナル伝達系の阻害剤を用いて検討する。 2. ミダゾラム及びレプチン、そして新規GM1発現調節物質がAβ線維体形成に与える影響について、反応条件下にGM1発現調節物質を加え、チオフラビンTによるAbeta線維体検出法で重合体形成の抑制を検討する。この検討の際に作製した反応液を初代培養神経細胞に投与し、Lactate dehydrogenase放出法で毒性評価を行う。
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