2014 Fiscal Year Research-status Report
ボランタリー地理情報の特性評価と共有手法に関する研究
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25870907
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
瀬戸 寿一 東京大学, 空間情報科学研究センター, 助教 (80454502)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | ボランタリー地理情報 / 参加型GIS / オープンデータ / オープンガバメント / オープンストリートマップ / FOSS4G |
Outline of Annual Research Achievements |
平成26年度は、前年度の研究事例地域のフォローアップを行ったほか、主にオープンな地理空間情報の流通量を集計するためのデーターベース生成について技術的に検討し,データ抽出からデータベース化までを実装した。ここで取り扱ったデータは中心的な研究対象であるOpenStreetMapの日本全国データである。さらに地方自治体単位によるオープンデータを対象に,特に地理空間情報がオープンデータ化されているか,されている場合,どのような公開手法を採用しているかを検討した。具体例として平成26年度は当初計画よりも大幅に対象都市を増やし日本国内の約45自治体、さらには海外の先進都市の10箇所の調査を実施し、定量的に各都市のオープンデータに関する状況を検討した。この結果、日本におけるオープンデータは防災・観光・教育に関するものが多く、データフォーマットについてもCSVなど機械可読に適した状態に整備されつつあることが明らかとなった。一方、海外についてはデータの総量が日本と比して多いことに加えて原データが多く流通していることも明らかとなった。 また、地理空間情報を公開型で共有することを前提とする場合、単にデータセットとしてダウンロードできる以外にも、WebGISを始めとする効率的な共有手法を低コストで構築する必要がある。そこでWebアプリケーションを中心に実際の利用状況を加味した上で、クラウド上にオープンな地理空間情報配信のプラットフォームを試験的に構築を行った。この結果、試行的ではあるが複数の地理空間情報を効率的に流通させるプラットフォームとして機能することが明らかとなった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題の目的であるボランタリー地理情報の情報特性(地理空間情報の属性値や空間的精度等)を、定量的・定性的に把握することについて、本年度はボランタリー地理情報の代表例であるオープンストリートマップの大規模データ(約20GB強)を対象に、集計可能なデータベースを構築・分析することができたとともに、オープンな地理情報配信技術の試験的な検討も行うことができた。評価手法の確立はオープンストリートマップを事例に既往研究を整理し、地域やデータ作成時期等の複数の指標に基づく特徴量を把握することが出来た。 また、本研究課題の第二の目的である、ボランタリー地理情報の社会的活用に向けた課題を明らかにすることに関しては、全国40都市以上のオープンデータに関する先進事例を定量的(データの公開量)・定性的(データのカテゴリ・公開時期)についてそれぞれ評価した結果、地域的課題を解決するためのオープンデータ化が求められることを明らかにした。なお社会的活用は、データの有効性と共に情報共有に用いるWeb技術・制度についても合わせて検討することで、より現実性のある活用方法について検討することができた。調査においては、主にWeb上で共有・データを再利用できるプラットフォームを対象として、オープンソース・ソフトウェアを中心に行った。日本の自治体においてこのような先進事例が導入されているケースは少ないため、海外の先進10都市を加えることでボランタリー地理情報を収集・蓄積・配信するプラットフォームとそれを構成するWeb地図技術を把握することができた。
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Strategy for Future Research Activity |
最終年度である平成27年度は、これまでの既往研究整理に基づく概念化や事例研究における事例のモデル化の取りまとめを実施するとともに、ボランタリー地理情報の流通実態の解明に向けた定量ー定性的なデータ分析を行う。さらに、ボランタリー地理情報を支えるためのオープンな地理空間情報を多様な主体が利活用できるようなプラットフォームを構築し、最終的には成果発信に期するツールとして整備する。 ボランタリー地理情報の流通実態の解明については、空間・属性分析で得られた定量的な分析結果を、特に「参加型GIS」研究における市民参加に位置づけた上で、どのような地理情報が収集・共有されやすいかを明らかにする。これにより、社会において新しくボランタリー地理情報に関するプロジェクトを立ち上げる際に、どのような地理情報を活用できるかについて指針を示すことができよう。 プラットフォーム構築については、地域情報の公開型共有の促進および阻害要因の解明と、地理空間情報の活用を促すための技術・制度のあり方についてまとめる。阻害要因については地方自治体が有する地理情報でも公開できない理由があるものについて、その理由とともに検討することで、様々な種類の地理情報が公開・共有できるための基礎づくりに活かしたい。さらに、ボランタリー地理情報型に基づくデータ生成と自治体のオープンデータ化の利点を統合させた、地理空間情報の公開型共有による社会的活用に向けて、今後どのような取り組みが求められるかを取りまとめる。
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Causes of Carryover |
ボランタリー地理空間情報のデータベース構築と集計技術に関して、当初予定よりも技術的実績のあり安価な外注先が確保できたため、抑えられた。謝金についても当初手作業の入力を検討していたものの、自動処理が一定可能になったため、サーバー環境等の整備に宛て安価に抑えられたため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
空間解析・研究取りまとめに必要なPCやHDDの購入と、研究成果の発信(主に国内外両方の学会への投稿と参加費・旅費)への執行を予定している。
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Research Products
(13 results)