2013 Fiscal Year Research-status Report
TRIM/RBCC E3リガーゼを介したインスリンシグナル新規制御機構の解明
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25870908
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kanagawa Institute of Technology |
Principal Investigator |
井上 英樹 神奈川工科大学, 応用バイオ科学部, 准教授 (20550156)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | シグナル伝達 / ユビキチン化 / インスリンシグナル |
Research Abstract |
平成25年度の本研究計画では、①NHL-1とDAF-16との関係の解析 ②NHL-1と相互作用する因子の解析 ③TRIM3によるFOXO1の制御機構の解析 を行った。 ①についてin vitroユビキチン化アッセイによってE3リガーゼ、NHL-1によるDAF-16ユビキチン化の有無について解析した。その結果、NHL-1はDAF-16を直接ユビキチン化しないことが示唆された。NHL-1の共発現がin vitro、in vivoそれぞれにおいてDAF-16のポリユビキチン化を抑制することを確認したため、NHL-1は間接的にDAF-16のユビキチン化を抑制することが考えられる。 ②について、①の結果を受け、GSTプルダウンアッセイに代え、線虫cDNAライブラリを用いたYeast Two HybridスクリーニングによってNHL-1と相互作用する因子を探索した。現在候補因子の単離を進めている。 ③について哺乳動物で保存されているNHL-1ホモログTRIM3と、DAF-16ホモログFOXO1の関係について生化学的解析を行った。TRIM3の過剰発現およびノックダウン実験の結果、哺乳動物においてTRIM3の発現はFOXO1タンパク質の増加および安定化に寄与することを見出した。さらに、TRIM3の発現によりFOXO1のポリユビキチン化の抑制が確認され、TRIM3はFOXO1の分解を抑制することを見出した。また、これらの活性はTRIM3のE3リガーゼ活性に依存することを見出した。平成25年度の研究により、線虫NHL-1とDAF-16、哺乳動物TRIM3とFOXO1で種を超えて共通したシグナル伝達機構を見出した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
当初の計画ではE3リガーゼであるNHL-1が直接DAF-16をユビキチン化するものと考えていたが、DAF-16がNHL-1に直接ユビキチン化を受ける証拠は得られなかったものの、NHL-1の発現によりDAF-16のポリユビキチン化およびタンパク質分解が抑制されることを見出した。哺乳動物においては研究計画の通り、NHL-1ホモログのTRIM3がDAF-16のFOXO1に対し、FOXO1の安定化に寄与することを見出した。TRIM3-FOXO1の関係においてもNHL-1-DAF-16と同様に直接的なユビキチン化でないことが示唆されたが、FOXO1の安定化に対する機能はE3リガーゼ活性に寄与するRINGドメインに依存することが確認された。これらの結果から、NHL-1/TRIM3によるDAF-16/FOXO1への作用は直接のユビキチン化でなくNHL-1/TRIM3による間接的なDAF-16/FOXO1のポリユビキチン化の抑制作用によるものと考えられたため、NHL-1/TRIM3の直接の基質となりうるタンパク質のスクリーニングと候補因子の単離を進めている。最終的な目標は元の研究計画に相違なく、さらに新たな制御機構が見出されることが期待されるため、研究はおおむね順調に進展していると判断した。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、現在行っているNHL-1相互作用因子のスクリーニングおよび候補因子の単離を優先して進め、単離した因子については線虫を用いた遺伝学的解析、その哺乳動物ホモログを用いた哺乳動物細胞を用いての生化学的および細胞生物学的解析を進めることでNHL-1/TRIM3によるDAF-16/FOXO1の安定化機構を解明する。また、研究計画に基づいて哺乳動物細胞を用いたTRIM3の生理的役割について、主に細胞周期、老化、抗ストレス等の観点で解析を進める。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度での研究計画に必要な機器および消耗品の物品を購入した結果、平成25年度直接経費予算のうち次年度使用額として666円を残すところとなった。 平成26年度予算と合わせ、次年度使用額を研究計画遂行のための消耗品を購入する目的で使用する予定である。
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