2013 Fiscal Year Research-status Report
ボランティアジレンマ状況の地域コミュニティにおける参加支援:カナダのNPO事例
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25870909
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桜井 政成 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (90425009)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 社会的包摂 / 社会的企業 / コミュニティ / カナダ / 社会運動 / NPO / ボランティア |
Research Abstract |
期間中に行った研究活動は下記の通りである。 まず、トロントにおいて、地域での社会的包摂を行う社会的企業と、その支援機関に関する調査。調査済み団体は順不同で、Learning Enrichment Foundation、Social Enterprise Toronto、STOP Community food Centre、Foodshare Toronto, Alterna Savings, Ontario’s Community Health Centresなどである。次に、トロント大学におけるコミュニティ・ディベロップメントに関する教育実態の理解。そのために、コミュニティ・パートナーシップ・センターの聞き取り、大学院科目「コミュニティ・ディベロップメント」への参与調査を行った。そして、The Association for Research on Nonprofit Organizations and Voluntary Action (ARNOVA) 42nd Annual Conferenceへの参加を通じた、カナダ・オンタリオ州における地域活性化の課題、とりわけファーストネイションを巡るそれについての、学術的・政策的理解を深めた。また同様に、The Association for Research on Nonprofit Organizations and Voluntary Action (ARNOVA) 42nd Annual Conferenceへの参加を通じた、社会的企業に関する北米での学術的議論の理解を深めた。さらに日本国内にて、研究の中間報告と今後の日加比較に向けた予備的調査を実施した。 なお、本研究の成果の一部は、3月15日、16日に開催された日本NPO学会年次大会にて報告した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
カナダで調査を行うことで明らかになった実態が、当初計画していた研究仮説にそぐわない部分があり、その再考と、それにあわせた研究プロセスの再構築が必要となった。このため、当初計画していた研究の発表は遅れることになるが、より意義深い研究内容になることが予想される。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も引き続き、カナダでのコミュニティ包摂を促進する非営利組織の研究をすすめるため、関係団体・関係者へのヒアリングや、団体の参与観察を継続して行っていく予定である。とりわけ、研究のメインテーマである「コミュニティ包摂」を推進するためには、社会的に排除されがちな当事者をどのようにコミュニティに参加させていくのかが、重要なポイントとなるが、それについてカナダの事例を分析している研究は日本では見られない。日本との比較を視野に入れながら、その推進のプロセスや構造を明らかにしていきたいと考えている。 加えて、日本ではソーシャルワークの一技法(あるいは一学派)としてのみしか理解されていないコミュニティワークについて、その総合的な概念であるコミュニティディベロップメントとともに、理解を深め、カナダでの地域福祉・経済の発展に対する実践上の意義について整理したいと考えている。 また上記の視点から、今後の研究の発展性を意識し、他の国の取り組みについても、本年度中に多少でも目配せする必要性が出てきている。このため現在、7月にイギリス・ロンドンを訪問し、社会的包摂に関しての社会的企業や市民団体の取り組み及び、その推進方策について探索的に調査する予定である。 また、それとあわせて、これまでと同様、関連の研究カンファレンスや実践者向けワークショップなどの集まりに参加し、積極的に情報収集も行う。現在、参加を予定している会議等は次の通りである。 ・Association for Nonprofit and Social Economy Research 2014 Annual Conference ・Community University Victoria Conference (CUVIC) 2014
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額が生じた理由は以下の通りである。まず、消耗品購入がカナダに移動する前に行えなかった分があり、それは次年度、日本に帰国後に執行する予定である。人件費及び謝礼については、聞き取り調査のテキストデータ化の発注を本年度中に行えなかった。調査は終わっており、データの精査が終わっていないため、本年度中には発注に至らなかったのが理由である。また文献・物品も予定よりも執行していないが、これもカナダ渡航前に発注できなかったことが大きな理由であり、必要な分がまだ入手できておらず、次年度、発注する。 まず、消耗品購入については、26年度、日本に帰国後に執行する予定である。人件費及び謝礼については、聞き取り調査のテキストデータ化の発注を本年度中に行えなかった。これも次年度、発注する予定である。文献・物品も予定よりも執行していないが、これも次年度、調査研究に必要な分を帰国後に発注する予定である。
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Research Products
(1 results)