2014 Fiscal Year Annual Research Report
ボランティアジレンマ状況の地域コミュニティにおける参加支援:カナダのNPO事例
Project/Area Number |
25870909
|
Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
桜井 政成 立命館大学, 政策科学部, 准教授 (90425009)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
|
Keywords | NPO / 地域福祉 / 地域コミュニティ / カナダ / 社会的企業 / 社会的包摂 / ボランティア |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究は、自発的な行為者が存在しないことで問題解決が図られない「ボランティア・ジレンマ」の状況にある地域コミュニティにおいて、NPOにより社会的包摂推進が図られるメカニズムを明らかにすることを目的とした。とりわけ、「排除されがちな人々」と、「外部者」という、地域コミュニティで社会関係資本を持たない二種類の「よそ者」に着目した。それらの地域参加の促進について、2013年9月から2014年7月にかけて、カナダ・トロント市内において地域コミュニティベースで活動するNPOを対象に調査を行った。 トロントのNPOでは、フードバンク等に利用者として訪れた者がそこのボランティア・スタッフとなる経緯がある。第一のよそ者である「排除されがちな人々」の参加を促し、地域コミュニティに包摂する仕組みがあると言える。さらには、大学との連携によってワークショップを開催したり、サービスラーニングやコミュニティベースドリサーチを実施したりと、第二のよそ者出る「外部者」とお互いに利益ある関係性を構築し、マンパワーの動員する動向が見られた。 さらにその成果を、2014年8月以降、日本での応用可能性を探ると共に、Omoto & Snyder (2009) の「コミュニティの文脈に埋め込まれたボランティア参加プロセスモデル」に基づき、分析した。そこでは、ボランティア活動への参加前、活動中、参加後というプロセスにおいて、コミュニティの影響を考慮しなければならないとしている。また、その分析のレベルも、個人レベル、対人関係レベル、組織レベル、社会レベルと、多層的な段階を念頭に置くものとなっている。このモデルについては、適用の仕方が難しく、日本の事例も観察しながら、モデル自体の有用性の確認や、改良の方向性を今後も検討し続ける必要が課題として考えられた。
|
Research Products
(3 results)