2014 Fiscal Year Research-status Report
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25870912
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
森下 直紀 和光大学, 経済経営学部, 講師 (40589644)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 環境史 / 環境正義 / 環境政策 / 文化人類学 / 国際情報交換 / 水俣学 |
Outline of Annual Research Achievements |
2014年8月21日~9月3日に、カナダにて現地調査をおこなった。主な調査地は、オタワにあるカナダ図書・公文書館および、被害地域であるオンタリオ州内の2つの先住民居留地であった。カナダ図書・公文書館では、史料の渉猟をおこなった。また8月26~30日の日程で、カナダ水俣病被害者が住む、グラッシー・ナローズ(現地名)および8月30日~9月1日にホワイト・ドッグ(ワバサムーン)を訪問した。現地では、27日に現地の被害者を診察している医師、グラッシー・ナローズの顧問弁護士、チーフ、そして日本から参加した医師、水俣学研究センターの関係者が参加したカナダ水俣病に関する認定問題医学検討会が開催された。また、ホワイト・ドックにおいても、31日にチーフと懇談をおこなった。さらに、これらの日程を通じて、複数の現地関係者から聞き取りをおこなった。 2015年3月6日~12日に、本年度2回目のカナダ現地調査をおこなった。調査地はオタワのカナダ図書公文書館およびオタワ市立図書館を対象とした。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
昨年度夏季の合同現地調査では、現地の現状を知るとともに、研究を進める上で必要な人的ネットワークの拡充に努めた。これにより、1970年代以降のグラッシー・ナローズとホワイトドッグの住民に対する水銀汚染をめぐる政治空間における諸アクターとその関係性を不完全ながら明らかにできたものと考えている。本年度は、昨年度に構築した人的ネットワークを活用し、また当時を知る関係者等に聞き取りをおこない、さらに詳細に迫りたいと考えている。 カナダ政府の水俣病に対する認識については、当時の行政史料をカナダ図書・公文書館の協力によって研究しているが、現在のところ確信に迫る情報はえられていない。本年度研究の主要な課題の1つと思われる。
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Strategy for Future Research Activity |
カナダ図書・公文書館での調査において、必要となる多くの史料に法的な制限が課せられている。これらの制限は、個別の申請において概ね解除されることが多いが(情報の共有・公開について制約がある)、解除申請において所定の期間が必要であり、計画的に現地調査計画を練る必要がある。現在、カナダ健康省の史料を照会しており、公文書館の手続き状況によって、本年度現地調査の日程を確定させなくてはならない。 また、本年度も昨年度カナダ合同現地調査を主催した熊本学園大学水俣学現地研究センター(本年度より、客員研究員)によって、現地関係者との研究交流プログラムがおこなわれる予定であり、参加し研究の深化および関係性の向上に努めたい。 本年度は、立命館大学環太平洋文明研究センターおよび熊本学園大学水俣学研究センターの客員研究員として、本研究課題の中間報告等をおこない、多分野の研究領域からの批判・提案を求めながら、カナダ水俣病の環境正義をめぐる環境史を深化させていきたいと考えている。
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Causes of Carryover |
国外調査費用について、環太平洋文明研究センターより支援があり、その分の予算を大幅に圧縮することが可能となったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
次年度についても、国外調査費については環太平洋文明研究センターより支援を受ける予定である。本年度については、国外調査費分の予算を本研究によって収集したデータの整理および公表のための予算に振り分ける予定である。
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Research Products
(6 results)