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2015 Fiscal Year Research-status Report

先住民族とカナダ水俣病の環境正義をめぐる環境史

Research Project

Project/Area Number 25870912
Research InstitutionWako University

Principal Investigator

森下 直紀  和光大学, 経済経営学部, 講師 (40589644)

Project Period (FY) 2013-04-01 – 2017-03-31
Keywordsカナダ / 水俣病 / 水銀 / 環境正義 / 先住民社会 / グラッシー・ナローズ / ホワイト・ドッグ / 公害
Outline of Annual Research Achievements

2015年9月、熊本学園大学水俣学研究センターにて、1975年以降収集されたカナダ水俣病関連の資料の分析・目録化・分析をおこなった。また、水俣学研究センターの花田昌宣センター長と意見交換をおこなった。水俣病事件の研究者グループは、カナダ水銀被害の初期の動きに深く関係しており、当時の状況についての情報を得た。
2016年2月カナダ現地調査
(1)ハーバード大学:ハーバード大学には、水銀汚染とその被害の実態の告発者が寄贈した資料を集積したLamm, Marion, Mercury Collectionがある。日本の水俣病研究者に支援を要請したのもこの人物である。連邦政府、地方政府、企業、各先住民政府などの各アクターが、問題発生当初にどのように対応したのか、また裁判の資料が保管されている。この資料を閲覧するにあたり、ハーバード大学の客員研究員資格を取得し、保管資料の精査・分析をおこなったが、すべてのコレクションを分析することはできず、2016年度に再度訪問する予定である。
(2)カナダ図書公文書館、オンタリオ州公文書館;オタワにあるカナダ図書公文書館、およびヨーク大学内のオンタリオ州公文書館にて、連邦政府および州政府に関する一次資料を収集・分析した。
(3)トロントにて支援者と懇談:トロント市内にて、グラッシー・ナローズの支援を長年行っている支援団体Free Grassyの代表者と面会し、現在の動きおよび現在までの歴史的経緯について意見交換をおこなった。

Current Status of Research Progress
Current Status of Research Progress

3: Progress in research has been slightly delayed.

Reason

本研究の申請書で示した、本研究で明らかにすべき項目と現在までの進捗状況を以下に示す。
(1)カナダの水銀汚染による被害に関する社会、経済、政治、環境の面でのアクターを抽出し、各アクターの関係性をアクター・ネットワーク理論の援用により示す:これまで集積したデータの分析により、具体的なアクターの特定をおこなった。今後は、それぞれのアクターの歴史的動きを分析し、関係性を明らかにする。また、1986年の各アクターによる合意締結にいたる、社会的、歴史的、政治的、経済的、文化的な背景の分析をおこなっている。この点については、成果の一部を2016年度中に『異貌の同時代:人類・学・の外へ』(仮)内に収録予定の論文としてまとめる。
(2)日本の水俣病事件では、事件が国の自然環境保護政策や各種の公害防止施策に影響を与えたが、カナダの事例における影響を示す:これまで集積したデータにより、カナダの水銀被害がその後の連邦政府の環境政策に与えた影響については、一定程度明らかになった。データを精査し、最終報告書にまとめる予定である。
(3)先住民コミュニティの位置関係や水銀を排出した工場などの位置はどのような政治的力関係により決定されたのかを示す:各コミュニティの移転や、工場の立地などについて、カナダ連邦政府の土地資源管理政策と密接な関係があることが、これまでの分析により判明した。この点についても最終報告書において取りまとめをおこなう。

Strategy for Future Research Activity

2016年度は、本研究の最終年度であり、主な活動としてはこれまでに収集した資料の分析および取りまとめをおこなう。具体的な活動については、以下が予定されている。
(1)2014年に行ったカナダにおける日本からの水俣病事件調査団の報告論文が、2016年度『水俣学研究』に掲載される予定である。
(2)2016年9月に、水俣病事件60周年に合わせて、カナダから代表団を来日することが予定されている。この機会に合わせシンポジウムを開催する。また、9月に被害地域を訪問し、現地での資料の収拾及び、聞き取りを実施する予定である。日程的に可能であれば、この訪加に合わせて再びハーバード大にて、資料の収集および分析をおこないたい。
(3)8月中に、立教大学共生社会研究センター内に所蔵されている宇井純公害問題資料コレクションを訪問し、資料の収集および分析をおこなう。
(4)帰国後から年度末にかけて、これまでに収集した情報を総括し、最終報告書を作成する。また、本研究に関わるデータの概略、歴史、文献データについてWeb上で公開する。

Causes of Carryover

年度末の人件費支出見込みと実際の人件費との差によって生じたもの。

Expenditure Plan for Carryover Budget

次年度人件費として充当

  • Research Products

    (2 results)

All 2017 2016

All Journal Article (1 results) (of which Peer Reviewed: 1 results,  Open Access: 1 results) Book (1 results)

  • [Journal Article] カナダ先住民グループにおける水俣病に関する調査報告(仮)2017

    • Author(s)
      花田昌宣、森下直紀、他16名
    • Journal Title

      水俣学研究

      Volume: 7 Pages: 未定

    • Peer Reviewed / Open Access
  • [Book] 17歳からはじめる経済・経営学のススメ2016

    • Author(s)
      半谷俊彦、森下直紀、他18名
    • Total Pages
      2
    • Publisher
      日本評論社

URL: 

Published: 2017-01-06  

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