2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Study of Environmental History: Environmental Justice of Indigenous People and Minamata Disease in Canada
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25870912
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Research Institution | Wako University |
Principal Investigator |
森下 直紀 和光大学, 経済経営学部, 講師 (40589644)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | カナダ / 水俣病 / 水銀 / 環境正義 / 先住民社会 / グラッシー・ナローズ / ホワイト・ドッグ / 公害 |
Outline of Annual Research Achievements |
1969年にカナダ国内で確認された水系生物の水銀汚染が確認されて以降、この問題はカナダ先住民社会の主要な課題の一つとなってきた。カナダ水俣病事件における環境正義問題の複雑な現状を明らかにするべく、先住民社会を取り巻く社会、政治、経済、環境に関する史的分析をおこなった。研究期間中に渉猟した史料は、まだ研究の途上であるが、研究期間中に明らかにしたものについては、2017年度中に公刊予定の書籍に論文として寄稿した。 カナダとアニシナベ先住民政府との歴史的関係からくる問題は、先住民の権利がカナダ憲法に明確に既定された現在でも存在し続けていることが確認された。現在の先住民政府の取り組みは、彼らが白人社会を発見して以来直面してきた問題に対して、水銀汚染問題を一つの核として、新たな政治規範を構築する試みであるように思われる。 また、世界の水銀汚染の状況に対して、臨床医学的な面での研究蓄積が乏しいこと、そして、日本の臨床研究の蓄積に寄せる期待の大きさを確認することができた。現在、カナダ国内では、河川の水銀除去と補償制度の見直しの議論が展開中である。2016年9月に熊本学園大学水俣学研究センターの花田昌宣教授とともに、トロントで先住民各政府、地方政府、連邦政府の各代表団とともに会議の場を持った。また、2017年度以降には、水銀による身体健康被害の国際共同研究が模索されており、本研究はその基礎となるものである。 2017年2月に、熊本県熊本市、水俣市、東京都町田市で、ゲストに各先住民政府の代表を招聘し国際シンポジウムを開催した。一連のシンポジウムを通して、草の根レベルの連帯と協働を相互に確認した。
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Research Products
(6 results)
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[Journal Article] 2014 Report on Research Results for Minamata Disease in First Nations Groups in Canada (Preliminary Report)2017
Author(s)
Masanori Hanada, Akitomo Shimoji, Shigeharu Nakachi, Masami Tajiri, Yukari Inoue, Kazuhito Tsuruta, Kazuhiro Yagi, Nanae Noji, Yohei Itai, Naoki Morishita, Hideki Sato, Toshitaka Makiguchi, Takanobu Kamakura, Etsuko Yamanouchi, Thor Aitkenhead
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Journal Title
Journal of Minamata Studies
Volume: 7
Pages: 19-34
Peer Reviewed / Open Access / Int'l Joint Research
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