2013 Fiscal Year Research-status Report
接近・後退運動する物体を追従時の注意の空間的移動特性に関する心理物理学的研究
Project/Area Number |
25870916
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
瀬谷 安弘 立命館大学, 情報理工学部, 助教 (30454721)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 3次元空間 / 視覚的注意 / 有効視野課題 / 眼球運動 |
Research Abstract |
移動する物体を目で追いかける場合(追従性眼球運動),その物体の移動にあわせ視線が移動する.このような追従時には視線の移動のみならず,視覚情報処理に深く関連する注意も移動する.これまでの研究では2次元方向へ移動する物体の追従時の注意についてのみ検討されてきたが,3次元的に移動する物体追従時の注意の特性については検討されていない.本研究では接近・後退運動する物体追従時の注意の特性を検討することを目的とした. 本年度では,まず予備的な検証として,目を動かさずに注視している時の奥行き方向への注意の分布特性に関する心理物理実験(研究1),及び接近・後退運動を観察時に生じる身体運動感覚(ベクション)や映像酔いに関する研究(研究2)を行った.研究1に関しては,有効視野課題として知られる注意の空間的分布(形状)を計測する課題に両眼視差を付加し,知覚的に異なる奥行きに提示される光点への定位の成績を計測した.結果は光点の提示位置が2次元方向に注視位置から離れるほど定位成績が低下すること,また光点の位置が奥行き方向に離れて提示される場合にも成績が低下することが明らかとなった.研究2に関しては,視差や刺激の大きさの変化といった奥行き手がかりを操作したランダムドットパターンを用い,接近・後退運動する刺激観察時に生じるベクションの長さや強度,及び酔いの強さを計測した.結果は奥行き手がかりが複数付加された条件で最もベクションが大きくなることだけでなく,酔いの強さも増加することが分かった.以上の成果は国内外の学会において発表した.研究2で用いた刺激を修正し,来年度より酔いなどのない最適な運動条件でのデータの収集を行う予定である.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画時に購入予定であった眼球運動計測装置の価格が高騰し,それに伴い他の装置の購入の検討を余儀なくされてしまったため,本年度からの奥行き方向への追従時の注意に関する検討に遅れが生じてしまった.しかし,同程度の性能を有する眼球運動計測装置の購入が可能となったことや,その間に注視時の注意の分布の検討や接近・後退運動刺激が人の知覚に及ぼす影響(ベクションや映像酔い)といった,効率的に実験を行うために必要な知見の蓄積を行うことができた.それ故,全体的に見れば,おおむね順調に進展していると思われる.今年度の準備を踏まえ,来年度より本格的なデータの収集を行う予定である.
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Strategy for Future Research Activity |
今後の予定としては,本年度での準備・成果を元に,接近・後退運動する刺激を追従時の注意の特性に関する心理物理学的実験を進める.具体的には基礎的な刺激を用いた接近・後退運動刺激を追従時の注意の特性に関する実験(研究1),及びより複雑な背景刺激が奥行き方向への注意の特性に及ぼす影響に関する実験(研究2)を行う.研究1では,単純な追従刺激とその周辺に提示されるターゲット刺激から構成される課題を用い,追従方向とターゲット提示位置の関係がターゲットへの反応時間の計測を行う.研究2では,ベクションを誘導するようなランダムドットパターンまたは実際に人が歩行している時のビデオ映像を背景として提示し,研究1と同様な課題を行い,背景による効果を検証する.以上の研究と並行し,国内外の学会での成果の発表及び論文の執筆を行う.
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Research Products
(4 results)