2013 Fiscal Year Research-status Report
「新日窒労組主婦の会」の歩みの記録とその女性運動史的分析
Project/Area Number |
25870917
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村上 潔 立命館大学, 先端総合学術研究科, 非常勤講師 (00588402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 主婦 / 水俣 / 水俣学 / 労働組合 / 労働運動 / 女性運動 / 性役割 / 地域社会 |
Research Abstract |
平成25年度は、当初の計画通り、熊本県水俣市の〈熊本学園大学水俣学現地研究センター〉に所蔵されている「新日本窒素労働組合旧蔵資料」(文献資料6,225点、写真資料63,600点)の資料調査を、同センターに定期的に通うかたちで進めた。 同年度は、主に1950~60年代の〈新日窒労組主婦の会〉に関する機関紙記事、役員名簿、規約、総会資料などの文献を調査した。これによって同時期の会長の変遷、役員構成、活動方針、班活動、拠点地区、支部、地区別会員数といった内容をおおまかに把握することができた。この文献調査によって得られたデータは、事項(会長の代替わり、新たに○○地区で〈主婦の会〉が誕生したことなど)を年表に落とし込むと同時に、具体的な総会議案や活動内容をトピックごとに別途整理している。これらは今後も随時増補していく。 加えて同年度は、労働運動史、労働組合論、女性労働運動、市民運動論、環境運動論、環境政治理論、環境思想、エコフェミニズムといった分野に関する知見を深めるべく、関連書籍を広く収集し、検討した。特に、〈新日窒労組主婦の会〉と比較検討する材料として〈三池炭鉱主婦会〉に注目し、書籍化された記録を収集して、当研究の分析視角を定めるための参考とした。 文献調査以外では、《『さいれん』復刻版刊行記念シンポジウム「水俣に生きた労働者の軌跡」》(2013年6月28日、於:くまもと森都心プラザ5階ホール)、《第25回 チッソ労働運動史研究会》(2014年3月28日、於:熊本学園大学水俣学現地研究センター)に参加したことで、平成26年度に行なう聞き取り調査の対象候補者や、同じように〈新日本窒素労働組合〉に関する研究を進めている研究者の方々と交流をもつことができた。 また、九州をフィールドとした社会思想/運動史の研究を進めている若手研究者とも、福岡市などで会合し、積極的な意見交換を行なった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度に文献調査をひと通り終える予定であったが、1970年代以降の資料収集は平成26年度に積み残した。とはいえ、1970年代以降の資料数は1950~60年代に比べれば相対的に少ないので、全体の進行においてはさほど影響はない。
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Strategy for Future Research Activity |
平成26年度は、当初の予定通り、〈新日窒労組主婦の会〉の元メンバーならびに〈新日本窒素労働組合青年婦人部〉の元メンバーへの聞き取り調査を行ない、これによった得られた知見を、前年度の文献調査の結果とあわせて整理し、全体的な分析作業を経たうえで成果を発表する。 平成26年度前半は、前年度に積み残した分の文献調査と、聞き取り調査を同時並行で実施する。文献調査は、主に1970年代以降の〈主婦の会〉の活動に関する資料を収集し、整理する。聞き取り調査では、文献調査により得られたデータに関する事実関係の検証を行ない、加えてなるべく多くの補足情報を引き出す。その際、対象者には、各人が所有する関連資料の閲覧提供も依頼し、必要なものは記録(複写)する。 聞き取り調査は、最初に〈主婦の会〉の初代会長、江口富子氏に対して行なう。江口氏には、会設立に至る過程と、初期の運営状況について、また現在から見て〈主婦の会〉の存在意義をどう考えているかを確認する。次に、労組の初代婦人部長で、現在は〈NPOみなまた〉の理事を務めつつ環境問題に取り組んでいる、江口睦美氏に対して行なう。その後、〈主婦の会〉関係者、婦人部関係者、各数名から聞き取りを実施する。必要に応じて、その他の関係者(組合の元幹部や、〈主婦の会〉メンバーの夫など)も対象とする。 同年度後半は、聞き取り調査の成果をまとめ、文献調査の成果に結合させる。年表を完成させると同時に、トピックを明確に分類し、情報を整理する。 最終的には、本研究の総合的な成果を、研究論文「〈新日窒労組主婦の会〉の歩みの記録とその女性運動史的分析」としてまとめ、平成27年2月に『水俣学研究』(熊本学園大学水俣学研究センター紀要)第7号に投稿する。分量的に論文に盛り込めなかったデータ(聞き取り調査の文字起こしなど)については、同センターと協議したうえで、有益な公開方法を検討する。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初予定していた現地出張の回数を(本務の都合で)1回下回ったため。 現地出張における滞在期間を、適宜当初の予定より延長する。
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