2014 Fiscal Year Research-status Report
「新日窒労組主婦の会」の歩みの記録とその女性運動史的分析
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25870917
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
村上 潔 立命館大学, 衣笠総合研究機構, 准教授 (00588402)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 女性運動 / 市民運動 / 水俣学 / ジェンダー / フェミニズム / 主婦 / 環境運動 / 国際情報交換 |
Outline of Annual Research Achievements |
【1】〈主婦の会〉に関する文献調査 2013年度に〈熊本学園大学水俣学現地研究センター〉で収集した資料(複写物)を整理・分析し、〈新日窒労組主婦の会〉の初期の概要をまとめた。①1960年代までの会長職の変遷、②地区構成、③規約の内容、④総会記録、⑤代表的な構成員が発表した文章、などはあらかた確認することができた。しかし、1970年代以降の動向を把握するためにはさらなる資料収集が必要であることが判明したので、2015年度前半に同センターを来訪し、追加の収集作業を行なう。 【2】フェミニズムに関する理論研究 マリア・ミース/ヴァンダナ・シヴァによる著作『Ecofeminism』(初版1993年)の新版が2014年3月に〈Zed Books〉から刊行されたことから、これを含めた代表的なエコフェミニズム関連の洋書文献を収集し、検討した。結果、女性主体による自律的な労働問題・環境問題への取り組みが、現在のグローバリゼーション・新自由主義の秩序のなかで、いかなる有効性・可能性を有し、またいかなる陥穽点・限界を抱えているのかを明確に捉えることができた。これによって、〈主婦の会〉の女性運動としての評価を行なう際の評価軸を固めることができた。 【3】国際会議への参加・情報交換 2014年10月19日、〈Queen Mary University of London〉にて開催された《AFem2014(anarcha-feminist conference in London 2014)》に参加し、イギリスのフェミニズム研究者らと意見交換をする機会をもった。そこでは主に、労働運動内部における女性コレクティブの存在意義やその活動の特徴について、コメントを授かった。これによって、本研究の国際的なフェミニズム運動研究のなかでの位置づけや、本研究の成果を今後国際的に発表していく際の留意点を明確にすることができた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
◆文献調査・理論研究・国際的な情報交換は、おおむね順調に進めることができた。 ◆「研究実績の概要」の【1】に記したとおり、〈主婦の会〉の1970年代以降の動向を把握するためには、文献資料の追加収集が必要である。 ◆〈主婦の会〉の代表/メンバーだった女性当事者ならびに関係者(複数名)への聞き取り調査には、まだ着手できていない。 ◆学会報告・研究会報告・研究論文としての(国内外での)成果発表は、2015年度後半に行なうこととなる。
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Strategy for Future Research Activity |
◆追加の文献資料収集が完了し次第、〈主婦の会〉の通史的なまとめを完成させ、まずそれの成果を学術論文として執筆する。論文は、『水俣学研究』(熊本学園大学水俣学研究センター発行)の第7号(2016年4月刊行予定)に投稿する。 ◆聞き取り調査が完了し次第、その成果をまとめ、〈チッソ労働運動史研究会〉(熊本学園大学水俣学研究センター主催/不定期開催)で口頭報告を行なう。 ◆エコフェミニズムの理論研究の成果をまとめ、『Ars Vivendi Journal』(立命館大学生存学研究センター発行の英文オンラインジャーナル)に英語論文として投稿する(2015年度末の投稿を予定している)。 ◆2015年度後半に開催されるフェミニズム関係の国際カンファレンスで、研究成果の発表(英語による口頭報告もしくはポスター発表)を行なう。
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Causes of Carryover |
◆〈主婦の会〉に関する文献資料の収集のための出張(京都~水俣)を、予定していた通りに遂行できなかったため。 ◆〈主婦の会〉関係者への聞き取り調査のための出張(京都~水俣)を、予定していた通りに遂行できなかったため。 ◆国内での研究成果の発表(学会報告・学術論文の投稿・成果報告資料の印刷など)を、予定していた通りに遂行できなかったため。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
◆〈主婦の会〉に関する文献資料の収集のための出張(京都~水俣) ◆〈主婦の会〉関係者への聞き取り調査のための出張(京都~水俣) ◆国内・国外での研究成果の発表(学会報告・学術論文の投稿・成果報告資料の印刷など)
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