2013 Fiscal Year Research-status Report
満洲開拓者の引揚げ・再定住・生活再建をめぐる歴史社会学的研究
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25870918
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 量 立命館大学, 立命館グローバル・イノベーション研究機構, 研究員 (20587753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 満洲開拓者 / 中国 / 植民地 / 帝国 / 引揚げ / 遣送 / 再定住 / 生活再建 |
Research Abstract |
1.2013年度は満洲開拓者の引揚げ過程を分析するために、とりわけ中国での史料調査を中心的に実施した。中国上海市(上海市档案館)と大連市(大連市図書館)における史料調査を複数回実施し、中国側による日本人遣送政策(中国では引揚げのことを「遣送」と呼ぶ)をめぐる史料の収集・分析を行った。 2.大連・上海での史料調査では、日本人の遣送政策をめぐるアメリカと中国による政策決定会議の議事録や、戦後中国における日本人収容所の名簿などの貴重史料の閲覧・複写を行った。 3.2013年8月には、上海・大連での史料調査に加えて、100万人以上の日本人が引揚げたといわれている遼寧省葫芦島市でフィールド調査を行い、引揚げを記念するモニュメントや関係者へのインタビュー調査などを実施した。 4.上海での史料調査および大連・葫芦島でのフィールド調査の研究成果は、論文「戦後中国における日本人の引揚げと遣送」(『立命館言語文化研究』、立命館大学言語文化研究所、25(1):155-171、2013年10月)としてまとめた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の計画では、日本と中国での史料調査を同時進行で進める予定だったが、中国での史料調査において貴重かつ重要な史料を多数発見することができたため、当初の予定よりも中国調査の回数を増やし、2013年度は中国での史料調査に注力した。そのため、これらの史料を活用した研究論文も初年度中に発表することが可能になり、当初の計画以上に研究は進展している。
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Strategy for Future Research Activity |
今後も2013年度に引き続き中国における史料調査を継続する。多数の貴重史料を閲覧・複写したものの、まだ調べ残している史料も存在するため、まずはこれらの史料収集を優先させ、中国における引揚げ史料の収集と複写を継続する。中国における史料調査では、現地の研究者とも協力しながら、今年度中に終了させることを目標とする。 その上で、当初の計画通り、今年度は京都市内での史料調査も実施して、随時インタビュー調査も行っていく。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
2013年度の研究費は、執行計画に基づいて当初の計画通りに執行してきたが、年度末に生じた端数金額を年度内に無理に執行するよりも、次年度の研究費に有効活用するほうが建設的だと判断して繰り越した。 中国での調査費もしくは書籍等の物品購入費に充当することを計画している。
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