2016 Fiscal Year Annual Research Report
A Historical Sociological Study of the Repatriation, Resettlement, and Life Reconstruction of Manchuria Settlers
Project/Area Number |
25870918
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Research Institution | Ritsumeikan University |
Principal Investigator |
佐藤 量 立命館大学, 経済学部, 非常勤講師 (20587753)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 満洲開拓者 / 引揚げ / 再定住 / 生活再建 / 引揚者二世 / 慰霊祭 / 同窓会 / 記憶/忘却 |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究では、満洲開拓者の戦後史に注目し、引揚者たちが戦後をどのように生き抜いたのかについて考察してきた。これまでの研究を通して多くの満洲引揚者や引揚者二世と知り合うことで、様々な慰霊祭や同窓会に参加してきたが、そこで見えてきたことは、引揚者が書き残してきた膨大な日記や手紙、引揚者団体会報といった一次資料および位牌の管理・保存・継承をめぐる困難であった。 引揚者の高齢化にともない満洲関係者団体の閉会が相次ぐなかで、今後どのように資料や位牌を引き継いでいくか、また、一世から直接満洲の話を聞く機会が少なかった三世・四世にいかに記憶を継承していくかという問題に対して、引揚者二世以降の世代が悩みに直面しており、その解決の目途は立っていない状況が明らかになった。 残された資料には、引揚者の戦後生活を知る日記や手記、会報に加えて、満洲国期や終戦直後の貴重な史資料も含まれている。しかし、個人情報が多数含まれていたり重複が多いことなどから各図書館や資料館、大学などの研究機関での受け入れは困難であり、引き取り手のない場合は破棄されることも多い。満洲由来の貴重資料の管理・保管問題や、満洲の記憶と忘却をめぐる問題は、満洲研究にとって重要な課題であるため、今後さらに研究を発展・継続する。 こうした問題意識も含意しながら、最終年度の成果として2016年9月4日に一橋大学国立キャンパスで開催された日本オーラルヒストリー学会において、テーマセッション「満洲の記憶とオーラルヒストリー」を主催し、満洲の歴史が戦後社会でどのように記憶/忘却されてきたかをテーマに報告した。
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