2016 Fiscal Year Annual Research Report
Development of highly processible and antimicrobial materials by esterification of cellulose with aromatic hydroxyl acids
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25870921
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Research Institution | The University of Tokyo |
Principal Investigator |
石井 大輔 東京大学, 大学院農学生命科学研究科(農学部), 特任助教 (70415074)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | セルロース誘導体 / フェルラ酸 / 脂肪族カルボン酸 / 混合エステル / 熱加工性 / 抗菌性 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は昨年度までに合成に成功したアセチル化フェルラ酸セルロースについてより詳細な作製条件の検討を行い、セルロース原料として安価かつ大量に得られる木材パルプを用いたアセチル化フェルラ酸セルロースの合成に成功した。その一方で本研究課題の最終目的である抗菌性評価については、評価に必要な5から10グラムのアセチル化フェルラ酸セルロースを1バッチで合成可能なスケールアップ合成の条件検討を行ったが、得られるアセチル化フェルラ酸セルロースの置換度が小スケール合成で得られるものより低かった。これはスケールアップにより反応混合物の不均一度合いが増したためエステル化反応の効率が下がったためと考えられる。 アセチル化フェルラ酸セルロースの加工条件の検討については、昨年度行った有機溶剤を用いてのフィルム化に代わり、より環境負荷の少ない熱プレス法によるフィルム化を試みたが、良好な形状の熱プレスを得る条件の特定には至らなかった。熱プレスによる加工が困難な理由としてアセチル化フェルラ酸セルロース中に残存する水酸基の影響が考えられたたため、残存水酸基を酢酸や種々の脂肪族カルボン酸でブロックし熱加工性を向上させる試みを新たに開始した。この混合エステル化セルロース誘導体を合成する経路として、はじめに反応系に脂肪族カルボン酸とアセチル化フェルラ酸を同時に投入する方法と、従来の方法でアセチル化フェルラ酸セルロースを合成した後に残存水酸基を脂肪族カルボン酸で修飾する方法の2通りを検討した。その結果、前者に相当するアセチル化フェルラ酸・酢酸混合系でのエステル化により残存水酸基のないセルロース誘導体を得ることに成功した。今後、より鎖長の長い脂肪族カルボン酸との混合系による合成の検討及び、得られたセルロース誘導体の加工性、各種物性および抗菌性評価を継続して行っていく。
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Research Products
(2 results)