2015 Fiscal Year Annual Research Report
遺児大学生へのグリーフケアグループ実施の意義-悲嘆と人格変化への効果の検討
Project/Area Number |
25870923
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Research Institution | Otemon Gakuin University |
Principal Investigator |
倉西 宏 追手門学院大学, 公私立大学の部局等, 講師 (40624284)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | グリーフケアグループ / 死別体験 / 悲嘆 / 自死 / 遺児 |
Outline of Annual Research Achievements |
【最終年度実施調査内容】前年度に引き続き(1)研究協力者へのフォローアップ面接(2)研究協力者へのフィードバック面接(3)データの整理、過去の研究データも含めた整理・再検討、を行った。 【研究期間全体での実施内容と成果】当初の研究計画の予定通り3クールのグリーフケアグループを実施し、その意義について検討を行った。グリーフケアグループ実施前後には複雑性悲嘆質問票(ICG)とバウムテスト、風景構成法を実施し、その変化からグリーフケアグループの意義の検討を行った。またグループの効果を検討するために、死別体験への個別面接実施のみの対照群を設定した。ICGに関してはグリーフケアグループだけでなく個別面接のみでもICGが軽減することが見出された。 事例研究①(自死遺児の事例):グリーフケアグループによって、悲嘆の軽減だけではなく喪失対象との関係性の構造の変化、さらに遺児自身の人生の物語としての「私」が変容することが見出された。事例研究②(あいまいな喪失):離婚等の離別後に、その離別した親と死別する体験を「曖昧な喪失」と理解して事例的に検討を行った。その結果、曖昧な喪失を経た遺児はグリーフケアグループに参加することによって一過的に悲嘆の程度が上昇するも、その後再び低下することが見出された。つまり、触れてこなかった死別体験に触れることで死別体験との直面化となるも、死別体験を再構成された後には再び落ち着いた形で自分の内側に収められるというプロセスが存在することが考えられた。事例研究③(多重喪失):親との死別後にきょうだいを自死で亡くした多重喪失を経た遺児への事例的検討を行った。親との死別の整理がついた後にきょうだいの自死が生じることによって、親との死別体験の意味が崩れ、きょうだいの死別と親との死別双方の再構成が必要になるプロセスが見いだされた。
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Research Products
(1 results)