2015 Fiscal Year Annual Research Report
ソフトセラミック・プロセッシング技術を応用した新規骨模倣性細胞伸縮デバイスの開発
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25870927
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Research Institution | Osaka Dental University |
Principal Investigator |
坂井 加奈 大阪歯科大学, 歯学部, 助教 (30632096)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | メカノバイオロジー / 細胞 / 培養装置 / リン酸カルシウム |
Outline of Annual Research Achievements |
「歯や骨に接着する細胞が応力を感知するメカニズム」の解析は、骨欠損・歯根吸収など歯科領域に生じる病態解明に道を開きうる。例えば、矯正治療に伴う人為的歯根吸収のメカニズムは未だ完全に解明されておらず、生来歯根の短い患者などは治療の選択肢が制限されている。もし、人為的歯根吸収を誘導する歯周組織の細胞応答機序をIn vitroで「簡便かつ正確に」解明出来る画期的な基盤研究ツールが開発されれば、新規メカニズム解明や治療法の開発に繋がり、治療を享受出来る患者数の増大に大きく寄与できる。しかし、その特異的研究ツールは未だ乏しく、研究遂行の大きな妨げとなっている。本研究は、高分子膜上に硬組織成分同様のナノリン酸カルシウム(Nano-CaP)を強固に固定したNano-CaP/高分子膜を新たに創製し、骨関連細胞・セメント芽細胞の新たな力学的刺激受容メカニズム解明を促す基盤ツールの創生を目的とする。H26年度以前に開発したNano-CaP/高分子膜では細胞の安定した細胞接着・増殖が認められなかった。従って、H27年度は引き続きNano-CaP/高分子膜調製時の高分子グラフト重合条件、およびNano-CaP付着条件の最適化を行った。その結果、H26年度以前の膜が細胞増殖・接着に課題を残した理由として下記の2点が明らかとなった:①過度のグラフト重合により、ポリアクリル酸の過成長が認められ、培養液を酸性に傾け、細胞に傷害を与えていた。②同過成長したポリアクリル酸が、Nano-CaP粒子を内包してしまい、細胞のNano-CaPへの接着を困難にしていた。以上の点を考慮して、グラフト重合条件を再探索した結果、細胞が安定して接着・増殖する条件の発見に成功した。
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