2016 Fiscal Year Annual Research Report
Effects of thermal load on blood insulin sensitivity
Project/Area Number |
25870939
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Research Institution | Baika Women's University |
Principal Investigator |
長井 雅代 梅花女子大学, 看護保健学部, 助教 (60623551)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 温熱刺激 / 骨格筋 / 温罨法 / ASCVD予防 / 健康相談 / 体質 |
Outline of Annual Research Achievements |
最終年度は、温熱負荷培養をしたヒト骨格筋細胞(SkMC)のマイクロアレイ結果の解析をした。 温熱負荷により2倍以上の発現の増加があった遺伝子は1072個、0.5倍以下に発現抑制された遺伝子は1123個であった。このうち、動脈硬化性心血管疾患(ASCVD)に関連している複数の遺伝子が含まれていることが確認された。その多くが温熱刺激による発現変動が糖代謝・脂質代謝への影響を中心としてASCVDに対して防御的に働くと考えられる因子であった。Gne Ontology解析、Pathway解析、NLP解析においても、ASCVDに関連する遺伝子が有意に含まれていることが確認された。 また、培養温度の変化によって骨格筋より放出され脂肪細胞または血中で作用する可能性が考えられたDipetidyl peptidase Ⅳ (DPP-4)について、SkMCを同条件の温熱負荷培養後に、培養液中に分泌されるDPP-4濃度をELISA法により確認し、DPP-4様のタンパク質を同定できた。 これらのことから、インスリン感受性改善やASCVDに防御的に働く因子の変動などから総合的に判断した場合、SkMCへの温熱刺激はASCVDに対して予防的な効果が期待できるものと考えられた。直ちに生体に応用できるわけではないが、この効果を看護職が用いる温熱刺激に活用できる可能性があることが示唆された。食事や運動と関連せずにASCVD予防に働く因子も確認されており、運動や食事などの取り組みと合わせた効果や、運動や食事の取り組みが難しい場合などにおいても活用が期待される。 さらに、実際に健康相談の場面などで温熱効果を活用する場合には、看護で使用されている罨法器具の活用が想定され、看護技術に必要な要件を満たすために、作用機序や安全性、具体的な温熱負荷の方法などを生体において検証していくことが必要であると考えられた。
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