2014 Fiscal Year Research-status Report
新規パーキンソン病治療薬としてのβ3受容体アゴニストの有用性に関する研究
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25870943
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Research Institution | Setsunan University |
Principal Investigator |
吉岡 靖啓 摂南大学, 薬学部, 准教授 (40330360)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | β3受容体アゴニスト / グルタチオン / パーキンソン病モデル / ドパミン神経細胞 / 神経保護作用 |
Outline of Annual Research Achievements |
本年度は、MPTP投与によるパーキンソン病モデル動物を用いて、β3受容体アゴニストのドパミン神経細胞保護作用について検討を行った。C57BL/6マウス腹腔内にβ3受容体アゴニストを1日1回、8日間反復投与した後、MPTPを2時間おきに4回投与した。MPTP投与3日後に、免疫組織化学的染色法により黒質のドパミン神経細胞数を計測したところ、MPTP投与によるドパミン神経細胞の脱落がβ3受容体アゴニスト投与により著明に抑制された。また、β3受容体アゴニストの反復投与により、黒質におけるグルタチオン量は有意に増加した。 次に、培養細胞を用いて、アストロサイトによる神経細胞へのグルタチオン供給機構について検討を行った。これまでの検討で、β3受容体アゴニストによる神経細胞内のグルタチオン量の増加は、両細胞を非接触下で共培養を行った場合にみられなくなることから、アストロサイト-神経細胞間の接着が重要であると考えてきた。一方、神経細胞内のグルタチオン量を指標に、培養液の組成を改変し、β3受容体アゴニストの影響について検討したところ、神経細胞にはグルタチオンを細胞外から直接取り込む機構が存在するが、神経細胞内のグルタチオン量の増加に本機構の寄与は小さいこと、神経細胞内のグルタチオン量の増加には、アストロサイトから放出されたグルタチオンと培養液中のシスチンとのシステイン-システイン交換反応により放出されるシステインの寄与が大きいことが明らかになった。このことから、アストロサイトから神経細胞へのグルタチオンの供給には、アストロサイト-神経細胞間の接着は必要ではなく、両細胞が近接した距離に存在することが重要であると考えられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
当初は、ノルアドレナリン神経脱落パーキンソン病モデル動物の確立を目指し、ノルアドレナリン選択的神経毒DSP-4を投与したマウスにMPTPの投与を行っていたが、本モデルではMPTP投与後にマウスが死亡することが多く、未だ投与条件を確立できていない。このため、研究計画に遅れが生じている。一方、MPTPによるドパミン神経障害がβ3受容体アゴニスト投与により著明に抑制されるという結果が得られており、上記のモデルが確立されれば、β3受容体アゴニストによるドパミン神経細胞保護作用がみられることが十分に期待できる状況にある。このため、研究全体としては少し遅れが生じていると考える。
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Strategy for Future Research Activity |
研究計画の遅れを取り戻すべく、投与条件のさらなる検討を重ねる。一方で、条件が確立できなかった場合のことも考え、β3受容体アゴニスト投与によりドパミン神経細胞保護作用がみられている条件で、その保護機構についても検討する予定である。
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Research Products
(2 results)