2013 Fiscal Year Research-status Report
Project/Area Number |
25870954
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kwansei Gakuin University |
Principal Investigator |
田畑 顕 関西学院大学, 経済学部, 教授 (20362634)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 人口構造変化 / 研究開発活動 / 経済成長 |
Research Abstract |
本年度は研究実施計画に沿って、期待寿命の変化に基づく人口構造変化(出生率の低下、就学率の向上)が研究開発活動を通じ、長期的な経済成長率に与える影響について分析する経済成長モデルを構築した。具体的にはJones(1995)タイプの2期間世代重複、R&D型経済成長モデルにBecker(1960)タイプの家計による出生・教育選択を明示的に導入した。期待寿命の増加は、人々の教育投資のインセンティブを高め、高等教育への進学率の向上をもたらす。こうした就学率の向上は1人当たり人的資本の向上を通じ、研究開発活動、経済成長に正の影響を及ぼす。一方、期待寿命の増加は、人々の子供の数に対する需要を低下させる効果を持つ。こうした出生率の低下は人口水準の低下を通じ、総人的資本水準を低め、研究開発活動に負の影響を及ぼす。本研究では、期待寿命が低い経済(途上国)では、期待寿命の増加は長期的な経済成長率に正の効果をもたらすものの、期待寿命がすでに高い経済(先進国)では、さらなる期待寿命の増加は、長期的な経済成長率に負の効果をもたらす可能性があることを示した。また子育て費用に対する補助政策と教育投資に対する補助政策が経済成長に及ぼす影響についても考察を行い、教育投資に対する補助政策は常に成長促進効果を持つのに対し、子育て費用に対する補助政策は、条件によって、経済成長に負の影響を及ぼす可能性があることを示した。これらの理論的成果はDiscussion Paper,Rising Longevity, Human Capital and Fertility in Overlapping Generations Version of an R&D-based Growth Modelとしてまとめられた。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
研究計画では、1. 期待寿命の変化に基づく人口構造変化(出生率の低下、就学率の向上)が研究開発活動を通じ、長期的な経済成長率に与える影響について分析する経済成長モデルを構築すること、2. 1の理論研究に基づく実証研究、数値計算のために必要なデータベースおよびシミュレーションプログラムを作成すること、の2つを本年度中達成すべき課題として掲げていた。そのうち1の経済成長モデルの構築については、当初の目標ほど、質が高いモデルとは言えないが、それでも一定の分析に耐えうる理論モデルの構築を成し遂げることができた。その意味では概ね研究の目的に沿った理論モデルの構築に成功したといえる。次に2の実証研究、数値計算に関しては、数値計算のシミュレーションプログラムについては実際にプログラムを組み、興味深いシミュレーション結果を得ることができた。しかし実証研究に関しては、最低限必要なデータベースの作成は行ったものの、意図したような分析結果を導くことはできなかった。今後は理論モデルの改良を踏まえつつ、統計的手法やデータベースなどの再考を通じて、実証研究についても一定の成果を得られるように、工夫を重ねていく予定である。以上、実証研究に関して課題は残るものの、本年度に関しては、概ね研究計画に沿った形で一定の成果を生み出すことができたといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
本年度については概ね当初の研究計画に沿った形で、一定の分析に耐えうる理論モデルの構築を成し遂げることができた。しかし、今後もより深い経済的、政策的含意の得られる理論モデルに仕上げるべく、適宜改良を加えていく予定である。特に理論に基づいた実証分析を行い、実証研究についても一定の成果を得られるように工夫を重ねていく予定である。 また当初の研究計画に従い、本年度開発したモデルを拡張し、出生促進政策(pro-population policy)の導入が、経済成長および経済厚生に及ぼす影響について、本格的な分析を開始する予定である。はじめに出生促進政策の設計(養育費用への補助、教育費用への補助、親の機会費用への補助)に関しての分析を中心に行い、その後政策にかかる費用の調達方法(徴税手段、国債発行)に関して分析を行う予定である。このような出生促進政策の理論分析については、解析的な分析では限界があり、主に数値計算の手法に頼ることになるので、シミュレーションプログラムの作成に多くの時間を割く予定である。またこうした理論分析に基づく実証研究のために必要なデータベースの作成などにも取り組む予定である。以上、次年度についても、概ね、当初の研究計画に沿って研究を進めていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
3月7日に資料収集と専門的知識の供与を受けるために、一橋大学経済研究所へ出張し、経済発展研究会主催セミナーにおける論文報告を聴講する予定であったが、当日の体調不良などの事情により、出張を中止し、翌年度に延期した。そのため資料収集のための国内旅費に要する費用(旅費、宿泊費、日当)相当分だけ翌年度に持ち越すこととなった。 翌年度に持ち越すこととなった54,294円については、資料収集のための国内旅費(交通費、宿泊費、日当)に再度割り当てる。また、翌年度分として請求した直接経費700,000円分については、当初の計画に沿って、資料収集、研究成果報告のための国内旅費に150,000円、学会参加のための外国旅費に300,000円、研究補助の人件費、謝金に100,000円、そして英語チェックの査読料や書籍などのその他項目や物品費に150,000円をそれぞれ割り当てる予定である。
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Research Products
(1 results)