2013 Fiscal Year Research-status Report
悪性胸膜中皮腫に対する新規ナフトピジル誘導体の抗腫瘍効果の判定
Project/Area Number |
25870965
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
菅野 武史 兵庫医科大学, 医学部, 准教授 (20434946)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 悪性胸膜中皮腫 / ナフトピジル誘導体 |
Research Abstract |
悪性胸膜中皮腫と呼ばれるガンは、アスベストの曝露が発症の要因となることが示唆されている。アスベスト曝露から悪性胸膜中皮腫の発症までの潜伏期間は、約40年と言われている。このため、全世界的にアスベストが1990年代まで使用されていたことで、悪性胸膜中皮腫の患者数は2010年から2030年代がピークとなることが予想されている。今後も患者数の増加が予想される悪性胸膜中皮腫は、極めて進行が早い潜行性のガンであり、進行した悪性胸膜中皮腫に対する治療成績は、1年生存率が約50%、2年生存率が約20%とガンのなかでも予後が非常に悪い疾患となっている。このように、悪性胸膜中皮腫に対する革新的な抗ガン剤の開発が強く望まれる背景の中、研究代表者は悪性胸膜中皮腫に対する新規抗ガン剤の候補化合物として、21種類のナフトピジル誘導体を開発した。 4種類のヒト悪性胸膜中皮腫細胞株(NCI-H28、NCI-H2052、NCI-H2452、MSTO-211H細胞株)を用いて、これらの培養細胞の細胞生存率に対する21種類のナフトピジル誘導体の効果を検討した。この結果、4種類の中皮腫細胞株に対して最も効率的に細胞死を誘導する新規抗ガン剤候補化合物として、HUHS1015をスクリーニングした。このHUHS1015による細胞生存率低下作用は、TUNEL染色の結果からアポトーシスであることが判明した。また、HUHS1015はこれらの細胞に対しカスパーゼ4とカスパーゼ3の活性化を引き起こした。以上の培養細胞を用いた結果から、HUHS1015を基盤とした悪性胸膜中皮腫に対する新規抗ガン剤の開発が期待される。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究の目的の一つは、21種類のナフトピジル誘導体から悪性胸膜中皮腫細胞株に対しアポトーシスを誘導し、悪性胸膜中皮腫の細胞死を引き起こす化合物をスクリーニングすることである。ナフトピジル誘導体の中からHUHS1015という新規抗ガン剤候補化合物がスクリーニングされ、この目的が当初の予定通りに達成できたことから、本研究は順調に進展しているといえる。
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Strategy for Future Research Activity |
今後の研究展開について、悪性胸膜中皮腫細胞をマウスに移植した悪性胸膜中皮腫モデル動物を作成し、培養細胞だけではなくモデル動物に対するHUHS1015の腫瘍抑制作用について、腫瘍サイズや生存率を測定し検討する。また、HUHS1015の生体に対する毒性試験および正常器官に対する影響を検討し、HUHS1015の新規抗ガン剤開発に向けた安全性についても評価する予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
当初の研究計画の通り、次年度は悪性胸膜中皮腫モデルマウス作成、HUHS1015の合成、悪性胸膜中皮腫細胞株の培養を行う予定であり、これに対する費用が発生する。また、HUHS1015の毒性評価および安全性確認のための費用が発生する。 悪性胸膜中皮腫モデルマウス作成、モデルマウスに投与するHUHS1015の合成、悪性胸膜中皮腫細胞株の培養、HUHS1015の毒性評価および安全性確認のための費用として使用する。
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