2015 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25870966
|
Research Institution | Hyogo Medical University |
Principal Investigator |
寺澤 大樹 兵庫医科大学, 医学部, 助教 (90589839)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | グラフェン / 量子干渉効果 / 普遍的電導度ゆらぎ / 弱局在 / 量子ホール効果 / 架橋構造グラフェン / スカーミオン |
Outline of Annual Research Achievements |
本研究はグラフェンの量子ホール効果において存在が予想されているスカーミオンという渦構造を持ったスピンによる多体励起を実験的に検証することを目的にしている。 本年度は、単層グラフェンをホールバーに加工して4端子測定ができる試料を作製し、磁場中での測定を試みた。作製した試料は、磁場7Tで量子ホール効果を示し、磁気抵抗の減少とホール抵抗の量子化が観測され、一定の成果を示すことができたが、スカーミオンの測定を行えるほど良好な量子ホール状態ではなく、磁気抵抗もゼロまで減少していなかった。この試料においても、低温において普遍的電導度揺らぎと弱局在効果が観測された。前年度までは2端子による抵抗測定のみだったので、4端子測定でゆらぎと弱局在効果との関係を調べたとろ、2端子測定の時と同じ結果が得られ、ゆらぎの極大のところでは弱局在効果が大きく、解析により弾性散乱時間、非弾性散乱時間に違いがあることがわかった。さらに磁場に対するゆらぎを高速フーリエ変換すると、特徴的な周期を導き出せることが分かった。これらの結果をまとめて論文とし、投稿する予定で現在取り組んでいるところである。 また、昨年度失敗した架橋構造のグラフェンデバイスの作製に成功した。この構造は、グラフェンの移動度を妨げる原因となっている不純物ポテンシャルを減少させるので、移動度の大幅な向上につながる。このデバイスを用いて、今後本年度までに成し得なかったスカーミオンの測定に挑戦したい。
|