2014 Fiscal Year Annual Research Report
Project/Area Number |
25870973
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Research Institution | Okayama University of Science |
Principal Investigator |
松下 大輔 岡山理科大学, 工学部, 准教授 (90372565)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 東日本大震災 / 避難者 / 岡山県 / 生活実態 / 定住意向 / 母子避難 / 社会関係 / 適応過程 |
Outline of Annual Research Achievements |
東日本大震災および福島第一原子力発電所事故による岡山県内への避難者数は、他府県が減少を始める2012年以降も増加を続け、2013年半ばより現在まで西日本各府県で最多であり、2015年3月現在時点で約1,120人にのぼる。岡山県は高々193万人の人口規模の一地方都市でありながら、大阪、兵庫、京都や広島、福岡よりも避難者数が突出して多く、特殊な状況が見られる。県内避難者の実態が不明である状況を鑑み、県内の研究機関として都市計画・建築計画の視点から、避難者の居住地選択行動、移住・定住意向、生活実態や社会関係に関する調査、研究を行った。本研究では岡山県および岡山市の協力を得て、2012年度から2014年度まで計3回の県内避難者生活実態調査を継続的に行うことにより、2011年3月の震災後約1年経過した時点から現在まで、県内に移住し避難登録を行った世帯の生活の概要をアンケート調査により把握した。また県内の避難者コミュニティや避難者メールリストを通じて避難者宅を訪問しインタビュー調査を行い、避難前後の状況や移住・定住の意向の聞き取りを行った。 県内避難者の7割以上が震災前に関東地方に居住しており、罹災証明を持たない。直接的な被災でなく、原発事故による放射性物質の拡散の影響を忌避した避難者が全体の約3/4を占める。避難世帯の過半数が母子による避難であり、その約8割が父親を前住地に残している。これらの世帯は自主避難世帯であり、公営住宅や医療費等の補助は限られる。母子避難世帯の3/4以上が乳幼児を帯同しており、家賃負担の高い民間住宅に入居し、仕事と子育ての繁忙な生活に加え、地縁血縁のない新たな土地、職で避難前と生活や家族の状況が大きく変化し、変化に十分適応できず困難な生活状況にある世帯が見られた。定住のためには安定した職に就くことをはじめ、近隣との豊かな社会関係を構築することが重要であることが明らかとなった。
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Remarks |
その他新聞、テレビ、ラジオ等の媒体により研究成果を公開し、科研費による研究である旨の謝辞を明示した。
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