2015 Fiscal Year Research-status Report
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25870979
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Research Institution | Hiroshima Shudo University |
Principal Investigator |
青竹 美佳 広島修道大学, 法学部, 准教授 (50380142)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | 相続法 / 遺留分制度 / 内縁 / 事実婚 / 寄与分 |
Outline of Annual Research Achievements |
前年度に引き続いて、死者と実質的に家族関係を築いていた者が死者の財産を取得する法的可能性の検討を続けた。平成27年度には、とりわけ内縁配偶者に焦点を当て、内縁の死亡解消に民法768条を類推適用することにより、死者の財産を一定程度確保できるかどうかを検討した。検討の素材として、ドイツの相続法における学説を手がかりとした。ドイツの相続法学説においては、日本における以上に、内縁に相続法の規定を類推適用することが否定的に解されている。しかし、特定遺贈についてのBGB1932条については、内縁に類推適用することを肯定する学説がみられた。その理由について、特定遺贈は相続法秩序とは関係がなく、規定の趣旨は配偶者であることよりもむしろ協同関係に重点が置かれているということであった。ここから、相続法秩序と財産分与の関係性が、民法768条の内縁の死亡解消への類推適用の可否の決め手の一つになるとの推論を立てた。以上の研究は継続中である。 上の問題と関連して、死者と実質的に家族関係を築いていた者が、死者から遺贈や生前贈与を受けていた場合であっても、遺留分制度によって、相続人がこのような処分を妨害する可能性が生ずる。平成27年度には、遺留分制度が、死者と実質的な家族関係を築いていた者(相続人を含めて)に対する財産処分を妨害するケースが実際に多くなっていることを、主に家庭裁判月報および判例データベースに掲載されている裁判例の分析により導き出し、成果を「遺留分制度の意義についてー裁判例の分析による一考察」水野紀子編『相続法の立法的課題』210頁(有斐閣、2016年2月)に公表した。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
本研究課題に関する学術論文を公表している他、学会・研究会等での研究を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
平成28年度においては、平成27年度に引き続き、死者と実質的に家族関係を築いている者が死者の財産を取得する法的可能性の検討を進める。とりわけ、現在、法制審議会民法(相続関係)部会において、相続人以外の者が財産を取得することを可能にする案について議論されている。平成28年度には、相続法改正の動向を注視しながら研究を進めることとする。また、前年度に引き続いて、ドイツの相続法学説をさらに分析し、日本における相続法の解釈および立法の課題に一定の方向性を与えることを目指す。
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Causes of Carryover |
所属先の変更により、研究を進める上で必要な書籍の購入を控えたことが要因である。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
平成28年度には、所属先変更により不足することになった研究用書籍および物品の購入に次年度使用額を充てることを予定している。
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