2013 Fiscal Year Research-status Report
手部の感覚情報を利用したバランス能力向上に繋がる方策の検討
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25870988
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kyushu Kyoritsu University |
Principal Investigator |
大下 和茂 九州共立大学, スポーツ科学部, 助教 (10615826)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 姿勢動揺 / 触覚情報 / 杖 / 筋活動 |
Research Abstract |
本研究の目的は,杖など身体を支えるための道具を利用したバランス能力向上に繋がる新たな方策について検討することである.平成25年度は,杖などの道具を身体を支えない程度の力で触れることで得られる軽い触覚情報とバランス能力との関係について基本的な現象を確認し,そのメカニズムについて調べることを目的とした.まず,手部への触覚情報の入力が,様々な立位時において姿勢制御にどのような及ぼすかについて調べた.そして,それらの基本的なメカニズムについても検討を加えた.その結果,以下の4点を明らかにした. 1.片脚立ち時において,実際の杖に身体を支えない程度の力で軽く触れるだけでも,身体動揺(足圧中心点平均移動速度,前後および左右方向の動揺最大レンジ)は小さくなる. 2.さらに,この作用は,不安定面上での立位時でも認められた.そのため,ある程度,姿勢動揺が大きい場合でも,手部からの触覚情報はバランス能力向上に貢献する可能性を示している. 3.これらのメカニズムについて,重心位置動揺(第三腰椎部の加速度により測定)の周波数解析を行った結果,閉眼立位時に手部から触覚情報を付加するより,主に1 Hzまたは8 Hz帯域の成分が大きく変化した.そのため,前庭系(1 Hz以下成分)や生理的振戦(8 Hz前後)の影響に起因している可能性を示した. 4.さらに,両足立位時に手部からの触覚情報を付加したところ,主動筋であるヒラメ筋の筋活動に変化は認められなかったが,拮抗筋である前脛骨筋の筋活動が有意に低下した.この結果は,手部からの触覚情報により身体各部位の相対的な位置関係の変化が知覚できるため,共縮による足関節周りのstiffnessを高めずとも,姿勢を保持できている可能性を示している.
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の目的であった手部からの軽い触覚情報がバランス能力に与える影響について,様々な立位時での変化を確認し,そのメカニズムについても一定の示唆が得られている.これらの結果については,現在,論文として投稿中であり,概ね順調に進展していると言える.
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Strategy for Future Research Activity |
平成25年度に得られた基礎的なデータを応用し,手部からの軽い触覚情報入力とバランス能力の変化について,縦断的な検討を加える.現在,手部からの触覚情報入力時にバランス能力が向上することを確認しており,今後は,その後の触覚情報がなくなった場合のバランス能力について検討する.また,平成25年度に不安定面上での立位時においても,手部からの触覚情報がバランス能力を向上させることが認められたため,この作用を動的な姿勢保持時においても応用する.
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Research Products
(5 results)