2013 Fiscal Year Research-status Report
先天性横紋筋融解症特異的iPS細胞の疾患モデルを用いた治療法の開発
Project/Area Number |
25870995
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安野 哲彦 福岡大学, 医学部, 助手 (80551994)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | iPS細胞 / 横紋筋融解症 / CPTII欠損症 |
Research Abstract |
Carnitine palmitoyltransferase IIは長鎖脂肪酸のミトコンドリアへの取り込みに必須の酵素である。その欠損症は常染色体劣性遺伝病で、脂肪酸β酸化の低下によりエネルギー不足に陥り、横紋筋融解症を来す。本症の病態解明と有効な予防法や治療法の確立はできていない。研究実施のための筋組織の入手は有症時に得る必要性があるが、入手は困難である。患者皮膚細胞よりiPS細胞を樹立し、病態をin vitroにて再現し、新規試験管疾患モデルの作製と治療法の開発を行った。 患者と患者の家族由来の皮膚線維芽細胞からiPS細胞を樹立した。未分化マーカーの発現、三胚葉への分化能を確認した。このiPS細胞は、患者の遺伝子変異を保因していた。MyoDを遺伝子導入して、骨格筋へ分化誘導した。マイクロアレイ、電顕およびリアルタイムPCRにて、成熟した骨格筋に分化していることを確認した。38度の熱刺激を加え、培養液をタンデム質量分析で解析した。健常者と比較して、熱刺激にてCPTII欠損症に特徴的なC16が増加しており、治療薬として期待されているベザフィブラートにて代謝が改善することが分かった。 これらの結果は、先天性代謝疾患の病態解明と治療法の研究において、ヒトiPS細胞は有用であることを示している。BBRCに報告し、受理された(in press)。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CPTII欠損症患者由来のiPS細胞を樹立し、骨格筋への分化誘導を行った。この筋細胞は、リアルタイムPCRや電顕で成熟した筋細胞であることを確認している。タンデム質量分析にて病態を模倣し、治療薬にて効果があることを確認している。
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Strategy for Future Research Activity |
患者iPS細胞由来の骨格筋は、2週間で作製が可能であり何度でも繰り返し実験できる利点がある。さらなる治療薬の探索や予防法について、検討を行っていく予定である。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
患者由来のiPS細胞の樹立とその分化誘導法の確立は、これまで実績のある京都大学iPS細胞研究所(増殖分化機構研究部門 長船研究室)と共同研究を行っており、予定通りに実験が進行している。 この実験系により、in vitroにて病態を作製し、病態の解明と治療法や予防法の確立を目指す。次年度に繰り越し、細胞培養を中心とした消耗品に対して使用予定。
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Research Products
(1 results)