2014 Fiscal Year Research-status Report
先天性横紋筋融解症特異的iPS細胞の疾患モデルを用いた治療法の開発
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25870995
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Research Institution | Fukuoka University |
Principal Investigator |
安野 哲彦 福岡大学, 医学部, 助教 (80551994)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 横紋筋融解症 / CPT2欠損症 |
Outline of Annual Research Achievements |
Carnitine palmitoyltransferase Ⅱ(CPTⅡ)は、長鎖脂肪酸のβ酸化に関与するミトコンドリア内膜にある酵素である。常染色体劣性遺伝形式をとり先天性横紋筋融解症をきたすCPTⅡ欠損症は、激しい運動、重症感染症などが誘因となり繰り返し発症する。本欠損症は、致死的な転帰ともなる新生児・幼児型と、横紋筋融解症から急性および慢性腎不全へと進展する成人型に分けられる。横紋筋融解をきたす遺伝性疾患として、β酸化異常症の中では、CPT II欠損症の頻度が最も高い。 患者由来の皮膚線維芽細胞からiPS細胞を樹立した。未分化マーカーの発現、三胚葉への分化能を確認した。この患者由来のiPS細胞は、患者の遺伝子変異を保因していた。MyoDを遺伝子導入して、骨格筋へ分化誘導した。マイクロアレイ、電顕およびリアルタイムPCRにて、成熟した骨格筋に分化していることを確認した。38度の熱刺激を加え、培養液をタンデム質量分析で解析した。健常者と比較して、CPTⅡ欠損症に特徴的なC16が増加しており、治療薬として期待されているベザフィブラートにて代謝が改善することが分かった。これらの結果は、先天性代謝疾患において、ヒトiPS細胞は有用であることを示している。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
CPTⅡ欠損症の患者と未発症で同一の遺伝子変異をもつ弟、ヘテロ保因者の両親の皮膚からiPS細胞樹立した。現在、iPS筋細胞の分化誘導が可能である。この骨格筋細胞に刺激を加え収縮弛緩の条件を決定し、更に刺激を強めて横紋筋融解現象を確認できた。
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Strategy for Future Research Activity |
iPS筋細胞の横紋筋融解を阻止できる薬剤やその条件を検討することにより、治療法の開発を目指す。
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Causes of Carryover |
患者由来のiPS細胞から分化誘導した骨格筋を用いて、病態の再現と治療薬として期待されているベザフィブラートにて代謝の改善を確認することが可能となった。今後は、この実験系にて横紋筋融解症を軽減する治療薬と条件の検討を行っていく予定。
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Expenditure Plan for Carryover Budget |
患者由来の細胞と健常者とを比較するため、リアルタイムPCR、マイクロアレイや形態的な変化について検討を行う。
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Research Products
(2 results)
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[Journal Article] Functional Analysis of iPSC-derived Myocytes from a Patient with Carnitine Palmitoyltransferase II Deficiency2014
Author(s)
①Tetsuhiko Yasuno, Kenji Osafune, Hidetoshi Sakurai, Isao Asaka, Akihito Tanaka, Seiji Yamaguchi, Kenji Yamada, Hirofumi Hitomi, Sayaka Arai, Yuko Kurose, Yasuki Higaki, Mizuki Sudo, Souichi Ando, Hitoshi Nakashima, Takao Saito, Hidetoshi Kaneoka.
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Journal Title
Biochem. and Biophys. Res. Commun
Volume: 448
Pages: 175-181
DOI
Peer Reviewed / Open Access / Acknowledgement Compliant
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