2013 Fiscal Year Research-status Report
ヴィゴツキーの児童学理論を中心とした子どもの社会文化的移行に関する基礎的研究
Project/Area Number |
25871008
|
Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
|
Research Institution | Fukuoka Jo Gakuin University |
Principal Investigator |
岡花 祈一郎 福岡女学院大学, 人間関係学部, 講師 (50512555)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | ヴィゴツキー / 児童学 / 移行期 / 接続 / 発達の危機 / 社会文化的アプローチ / 就学 |
Research Abstract |
平成25年度の研究計画は、ヴィゴツキーの児童学研究に焦点をあてて文献資料を収集して理論的に整理し検討することであった。この計画をもとに、国内でアクセス可能な児童学に関する資料収集を行った。その上で、ロシアの児童学という研究領域でのヴィゴツキーの発達に関する理論的な枠組みを整理した。これまでの先行研究では、ヴィゴツキーが就学移行期を「7歳の危機」と論じていたことは指摘されてきたが、発達の危機と発達の最近接領域などの諸概念の形成過程について吟味されてこなかった。本研究ではその関連について分析を行った。その成果の一部は日本教育方法学会第49回大会で発表した。現在、論文修正して投稿予定である。 また、日本発達心理学会第25回大会では、ヴィゴツキーだけではなく、ワロンやエリコニンらの発達論についてのラウンドテーブルに登壇して発達の危機の問題について議論を深めた。 その他、共同研究として教員養成研究を行っており、そのなかで保育者養成の議論を論文としてまとめた(福岡大学研究部論集)。保育者養成の課題のひとつとして、小学校への接続をふまえた保育実践や、保護者のみならず小学校教員との連携などが求められている点について指摘している。また、ヴィゴツキーに大きな影響を与えているマルクスの教育論に関する学位論文出版物の書評を執筆した。 以上のように、今年度はヴィゴツキーの児童学研究について理論的に整理して、移行期に関する発達の枠組みを再構築する作業を行った。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
平成25年度の研究計画は、ヴィゴツキーの児童学研究に焦点をあてて文献資料の収集を行い、理論的に整理および検討することであった。国内でアクセス可能な資料の収集と、その整理は十分に行えたと考えている。しかしながら、当初計画していたロシア渡航が叶わず十分な資料および情報収集が行えていない。 その理由としては、渡航予定先であったロシア人文大学のヴィゴツキー研究所との渡航調査研究日程が合わなかったことが挙げられる。平成26年度は調整を行い渡航計画を実現して資料収集を行いたいと考えている。
|
Strategy for Future Research Activity |
平成26年度の研究計画は、オーストラリアやニュージーランドなどのナショナルカリキュラムに関する調査分析を挙げている。また、昨年度実施することができなかったロシアのモスクワ渡航を行い、ヴィゴツキーの児童学研究に焦点をあてて文献資料の収集を行う予定である。現在、2014年9月から10月にかけて国際学術学会ISCAR(International Society for Cultural and Activity Research)がオーストラリアで開催予定であるため、それに合せて渡航および情報収集にあたる予定である。また、モスクワへ3月に渡航を行い資料収集および調査研究を行えるように調整を進めている。現在、モスクワのロシア人文大学と矯正教育研究所を考えている。 これらの海外調査と平行して、ヴィゴツキーの児童学に関する知見から移行期の発達および教育の枠組みを整理することを行う予定である。
|
Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
平成25年度の研究計画で当初予定していた、ロシア渡航が叶わなかったため旅費の使用がほとんどなかった。その理由としては、渡航予定先であったロシア人文大学のヴィゴツキー研究所との渡航調査研究日程が合わなかったことが挙げられる。また、3月下旬に実施した国内出張等の支払いが年度をまたいだこともあり、次年度への繰越しが発生した。 平成25年度の使用分の支払いとともに、ロシア渡航と国際学会などの海外出張の旅費として支出する予定である。
|