2013 Fiscal Year Research-status Report
ホームレス者に対する個別的で継続的な支援に関する研究
Project/Area Number |
25871016
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Sapporp International Junior College |
Principal Investigator |
山内 太郎 札幌国際大学短期大学部, 幼児教育保育学科, 講師 (90369223)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | ホームレス / 貧困 / 伴走型支援 |
Research Abstract |
本研究は脱路上を果たしても「ホームレス状態(要支援状態)」は継続している可能性があるという問題意識に立って、脱路上後の生活状況の具体的把握と支援の方策を検討することを目的としている。そのため元野宿者を調査対象とし、彼らに支援を含めた関わりを継続しつつ同時に調査活動も行うという手法をとる。 平成25年度はパイロット的な調査を行う期間と位置づけ、まずは信頼関係の醸成に努めて環境が整い次第調査を実施する予定とした。調査については2名の方の協力を得ることが出来たが、本年度の取組では「継続的なかかわり」の困難さがあらためて浮き彫りになった。 調査対象者の一人(Aさん)は精神疾患で通院をしていたが、精神的に不安定な状態が続き、軽微な罪を犯して逮捕・服役することになった(生活保護を受給していたが辞退したいと騒ぎ、取り押さえに来た警官に対する公務執行妨害容疑。前科があったため懲役刑となった)。また、もう一人(Bさん)はギャンブル依存症のため金銭管理も含めた相談を受けていたが、生活保護費の支給日から数日間は連絡が取れなくなり、無一文になってから連絡が取れるようになるということが何度かあり、現在はほとんど連絡が取れなくなってしまった。 両者とも「継続的なかかわり」が困難となった事例になってしまったが、このこと自体本研究が取り組まれなければならないことを示している。上記の事例から示唆されたのは、一見すると一般社会では理解されにくい彼らの言動である。例えばAさんは生活上の課題に直面すると刑務所に入るということがまず最初の選択肢として口に出てくる(そして実際に服役した)。Bさんは金銭問題や約束を守らないため本人が関わった支援団体すべてから出入り禁止にされている。 脱路上後の孤立化の問題は先行研究でも「社会的排除」の問題として捉えられているが、彼らの「理解のされにくさ」にも焦点を当てる必要がある。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
3: Progress in research has been slightly delayed.
Reason
継続的な支援も含めたかかわりを調査と並行して行う予定だったが、調査対象となっていただいた方が服役や音信不通のため現在調査が中断している。ただし服役中の方については現在も手紙のやり取りは継続しており、来年の春には出所予定であるため、その後には調査を再開する予定である。 また、現段階では直接調査協力の承諾を得てはいないが、筆者の所属している支援団体と関わりのあった元野宿者の方で調査依頼をお願いできる方が数名いるため、それに向けて準備を進めている。
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Strategy for Future Research Activity |
当初の計画では前年度の調査対象者の方に対する調査を継続していくこととしていたが、現時点ではその見通しは難しくなっているため、新たに調査に協力していただける方を探すことから始める必要がある。この点については研究計画の段階で予想される困難として挙げていることであり、またその候補者もすでにあたりはついている。もちろん前年度同様に調査に協力してくださる方との信頼関係が大前提となるので、この点については細心の注意を払い、生活状況の具体的な把握に努めたい。 また、研究計画では調査対象者本人が日常生活の中でどのようにして他者との関係を構築していくかという点に着目するとしたが、平成25年度の実績を踏まえて、彼らの一見すると理解されにくい言動についても注意して見ていきたいと考えている。
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