2015 Fiscal Year Annual Research Report
鋳肌を有する球状黒鉛鋳鉄鋳造品の渦電流法による非破壊評価手法の開発
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25871025
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Research Institution | Asahikawa National College of Technology |
Principal Investigator |
堀川 紀孝 旭川工業高等専門学校, システム制御情報工学科, 准教授 (80344480)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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Keywords | 球状黒鉛鋳鉄 / 非破壊試験 / 渦電流試験 / 残留応力 / 表面粗さ / 鋳肌 / 基地組織 |
Outline of Annual Research Achievements |
27年度は (1)26年度に引き続いて渦電流試験における球状黒鉛鋳鉄の表面加工の影響評価,(2)薄肉球状黒鉛鋳鉄の鋳肌からの組織分布評価,(3)プローブおよび試験体の電磁場解析,を行った. まず,球状黒鉛鋳鉄ブロックから採取した試験片に種々の条件でフライス加工を行うとともに,表面の残留応力測定ならびに渦電流試験を行った.切削速度が高いほど引張の残留応力が大きくなり,渦電流信号も変化した.また,基地組織の異なる試験片の渦電流信号分布は,その基地組織の差と対応したが,残留応力の影響も付加されていた.試料切断機の砥石による切断では渦電流信号への影響は小さく,砥石による残留応力が表面のごくわずかな深さに限定されるためと判断した. また,肉厚4mmで中央の一部を2mmとした幅35mm,長さ150mmの薄肉の球状黒鉛鋳鉄試験片について,鋳肌上から渦電流試験を行った.鋳型の砂の粒度の変更により鋳肌の粗さを変化させている.同一の試験片での肉厚の変化に伴う基地組織のパーライト率の変化は,渦電流信号の分布から判別可能であった.さらにチル組織(急冷により晶出したセメンタイト相)を含む試験片についても検出可能であった.鋳肌の研磨により粗さを低減させながら渦電流信号を測定したところ,粗さによる渦電流信号の変化の方向はチル組織の有無によるものとほぼ同等の方向であったことから,これらの分離には複数の試験条件の組み合わせが必要であると考えられる. 前年度導入した有限要素法解析ソフトを使用し,電磁場解析を行った.フライス加工で生じる残留応力の影響層および鋳肌の表面粗さを考慮し,表面の200μmのみ導電率ならびに透磁率を変化させた解析を実施した.その結果,本研究で対象としている球状黒鉛鋳鉄では,10kHzより高い試験周波数では表面直下の200μmの影響が大きく,1kHzまで下げる事で相対的に試験体表面の影響が低減され,材質評価に適することが示された.
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