2014 Fiscal Year Research-status Report
応力聴診器及びピエゾフィルムを用いた危険予測のための欠陥・き裂検出技術の基礎研究
Project/Area Number |
25871030
|
Research Institution | Tokyo National College of Technology |
Principal Investigator |
志村 穣 東京工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (70390424)
|
Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
Keywords | 欠陥・き裂検出 / 応力聴診器 / 表面切欠き / ひずみ分布 / ニューラルネットワーク / 有限要素解析 |
Outline of Annual Research Achievements |
今年度も昨年度と同様に,表面欠陥を有する構造部材のひずみ分布を応力聴診器により測定することで,欠陥検出の可能性を検討した。今年度は表面欠陥として切欠き形状に限定し,その幾何形状および試験片厚さがひずみ分布に及ぼす影響を調査した。具体的には,擬似的欠陥として様々な寸法の表面切欠きを施した金属試験片を製作し,これに一定繰返し荷重を負荷した際の欠陥近傍におけるひずみ分布を応力聴診器により測定し,切欠きの寸法形状がひずみ分布に及ぼす影響を調査することで欠陥検出の可能性を模索した。そのために,切欠き幅,切欠き深さおよび試験片厚さを変化させた場合の10種類の試験片に対するひずみ分布測定実験を行った。その結果,切欠き深さおよび切欠き幅が増加すると最大ひずみ値が大きくなることがわかった。また,ひずみ分布の挙動は試験片厚さと切欠き深さとの関係によって変動することが明らかとなった。以上より,応力聴診器を用いたひずみ分布測定より欠陥検出の可能性を示唆することができた。 さらに今年度は上述の応力聴診器によるひずみ分布測定にくわえて,ニューラルネットワークおよび有限要素応力解析を駆使して,欠陥検出と欠陥寸法形状の同定を試みた。表面切欠きを有する各種試験片の三次元有限要素応力解析を行い,そこから得られたひずみ分布を教師データとし,同様に疑似欠陥を有する試験片のひずみ分布を,応力聴診器を用いて測定し入力データとした。これらを用いてニューラルネットワークを構築することで,未知欠陥の位置,深さおよび幅の同定が可能か検証を行った。得られた知見として,欠陥深さおよび幅の寸法が大きくなるとそれらの検出誤差は増加することがわかった。また,欠陥の位置検出誤差は数値的には問題ないものの,現状では整合性に難があることが判明した。本手法では,欠陥位置および幾何条件のうち,欠陥深さの検出が最も精度が高いことがわかった。
|
Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
今年度の研究内容は「応力聴診器による構造部材表面の欠陥検出」の深化を目的とし,試験片厚さおよび切欠き欠陥の寸法形状の変化に対する本手法の追従性を調査することとした。また,応力聴診器によるひずみ分布を活用し,ニューラルネットワークと有限要素応力解析を複合させることで欠陥検出とその寸法形状の同定を試みた。これらの研究成果をもとに3件の学会発表を実施できたことから,本研究の進捗度は概ね順調であると言える。
|
Strategy for Future Research Activity |
これまでの各種実験結果より,試験片厚さと切欠き寸法との比がひずみ分布の曲率に影響を及ぼすことが判明した。したがって,それらの関係を詳細に調査しデータベース化することで,試験片厚さとひずみ分布の状態から切欠きの寸法形状の推定が可能であると考えられる。今後は,表面切欠きのひずみ分布測定に特化するとともに,切欠きのパラメータを増やし,より詳細なひずみ分布データの取得を試みる。併せて,実験状態を再現した有限要素解析を行い,考察を深めるための参考資料の蓄積を図る。
|
Causes of Carryover |
本研究で重要となる測定器具および装置は,応力聴診器と超高入力インピーダンス接触型表面電位計である。後者を用いた測定では実験の性質上,装置の測定子に負荷をかけることになり度々不具合を生じていた。そのため,非接触型への切り替えを想定したが,適切なものが見当たらなかった。この事が主たる理由ではあるが,他方の応力聴診器による欠陥検出の研究が進み,こちらに傾倒していることも一因である。
|
Expenditure Plan for Carryover Budget |
現在のところ,超高入力インピーダンス接触型表面電位計を用いるよりも,応力聴診器による欠陥検出の方が,実用性が高いと考えられため,後者の研究に専心する予定である。したがって,接触・非接触型表面電位計ではなく,三軸タイプの応力聴診器および動ひずみ計等の購入を計画している。また,並行して応力聴診器を用いた新たな取り組みを思案中であり,その準備のための使途も考慮に入れている。
|
Research Products
(3 results)