2013 Fiscal Year Research-status Report
単接合型太陽電池に最適なバンドギャップを持つ新材料による新型薄膜太陽電池の創出
Project/Area Number |
25871032
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
荒木 秀明 長岡工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (40342480)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 化合物薄膜太陽電池 / 硫化物 / 太陽電池 / 薄膜 |
Research Abstract |
身近な元素(銅,ゲルマニウム,硫黄)から構成される新規な三元化合物Cu2GeS3を光吸収層とした薄膜太陽電池の作製を試みた。 はじめにCu/Ge積層プリカーサの硫化によるCu2GeS3薄膜の作製を実施し,Cu2GeS3のバンドギャップがEg=1.5-1.6eVであることを明らかにするとともに,n型CdS薄膜とのヘテロ接合の形成による太陽電池素子化を行いVoc=380mV, Jsc=12.6mA/cm2, F.F.=0.355, PCE=1.70%を得た。 このようにして作製したCu2GeS3薄膜には,SEMによる観察からMo下部電極とCu2GeS3界面に大きな空隙が多く見られた。この空隙は硫化時の体積膨張やゲルマニウム硫化物の昇華によって生じているものと推察され,光電変換効率の向上にはこれらの抑制が必要である。そこで,Cu2GeS3を蒸着源に用いた真空蒸着によるCu2GeS3薄膜の作製を試み,Cu/Geプリカーサの硫化時の問題の解決を試みた。 Cu, Ge, Sを原料に用いて真空封入した石英アンプル中で加熱溶融し,合成されたCu2GeS3を蒸着源として用いた真空蒸着法によりSLG基板上に硫化物プリカーサを作製した。成膜したままの試料はXRD測定において明瞭な回折ピークは得られなかったが,この試料を赤外線加熱炉の石英チャンバー内に固体硫黄と共に入れ,580度で加熱・硫化処理を行うことで,Cu2GeS3の形成を確認した。 今後,SLG/Mo基板上への成膜を試み,このようにして作製されたCu2GeS3薄膜を用いて太陽電池素子化を試みる。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
2: Research has progressed on the whole more than it was originally planned.
Reason
硫化物を蒸発源として用いる薄膜作製の前段階として,Cu/Ge積層プリカーサの硫化によるCu2GeS3薄膜の作製を実施し,Cu2GeS3のバンドギャップがEg=1.5-1.6eVであることを明らかにするとともに,n型CdS薄膜とのヘテロ接合の形成による太陽電池素子化を行いPCE=1.7%を得ており,Cu2GeS3が薄膜太陽電池の光吸収層として十分な性能を示すことを明らかにした。 また,更なるCu2GeS3薄膜の高品質化を目指して硫化物Cu2GeS3の高純度バルク試料をCu,Ge,Sから石英アンプル中で加熱溶融することで,合成に成功した。 得られたCu2GeS3試料を用いた抵抗加熱による真空蒸着法を用いてSLG基板上へ薄膜の作製を行い,成膜したままではCu2GeS3薄膜は得られなかったが,これを硫化物プリカーサとして用いて赤外線加熱炉にて硫黄蒸気中で熱処理することでCu2GeS3薄膜を作製することに成功した。
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Strategy for Future Research Activity |
硫化物ソースを用いてSLG基板上へのCu2GeS3の形成を確認したが,プリカーサの作製条件によって,Cu2GeS3層中に空隙を生じており,プリカーサの成膜条件の最適化をさらにすすめる必要がある。同時にMoコートしたSLG基板上への成膜を実施し,SLG/Mo基板上に成膜したCu2GeS3薄膜を太陽電池光吸収層として,その上に溶液成長法によりバッファ層(CdS)を,現有のスパッタ装置によりi-ZnOバッファ層,ZnO:Al透明導電膜層を,蒸着法によりAl上部電極を形成し,glass/Mo/Cu2GeS3/CdS/ZnO/ZnO:Al/Al構造のデバイス化を行う。得られたデバイスは疑似太陽光照射下(AM1.5, 100mW/cm2)において光起電力特性の評価を行い,開放電圧,短絡電流,変換効率,曲線因子などの太陽電池特性の組成や製膜条件への依存性やバッファ層の作製条件を検討する。
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