2014 Fiscal Year Annual Research Report
単接合型太陽電池に最適なバンドギャップを持つ新材料による新型薄膜太陽電池の創出
Project/Area Number |
25871032
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Research Institution | Nagaoka National College of Technology |
Principal Investigator |
荒木 秀明 長岡工業高等専門学校, 物質工学科, 准教授 (40342480)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2015-03-31
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Keywords | 化合物薄膜太陽電池 / 硫化物 / 太陽電池 / 薄膜 |
Outline of Annual Research Achievements |
身近な元素(銅,ゲルマニウム,硫黄)から構成される新規な三元化合物Cu2GeS32(CGS)を光吸収層とした薄膜太陽電池の作製を試みた。 昨年度,Cu/Ge積層前駆体(プリカーサ)薄膜の硫化により作製したCGS薄膜を用いて太陽電池素子を試作し,開放電圧380mV, 変換効率1.70%を得ることに成功した。本年度は,Mo/CGS界面でのドーム状の空隙やピンホールなどCGS薄膜の形態改善のために,CGSを蒸着源に用いた薄膜の作製やプリカーサをGeS2とS雰囲気中で熱処理することによるCGS薄膜の成長を試みた。 特に,Cu薄膜をプリカーサとして GeS2,硫黄と共にN2雰囲気下で加熱し,CGS薄膜を成長させたところ,硫化温度500℃以上において,ピンホールが観察されるもののMo/CGS間の大きな空隙は見られない,組成比Cu/Ge=1.9,S/Metal=1.3のCGS薄膜を得た。得られた薄膜を用いて太陽電池素子を作製したところ,開放電圧489 mV,短絡電流密度3.6mA/cm2,曲線因子0.28,変換効率0.49%と Cu/Geプリカーサの硫化により作製した素子よりも高い開放電圧を得た。 以上のように,本研究では新規な3元化合物Cu2GeS3が禁制帯幅Eg=1.5eVを持つ単接合型太陽電池に適した材料であることを明らかにするとともに,SLG/Mo/Cu2GeS3/CdS/ZnO:Al/Al構造の太陽電池素子において変換効率1.70%を得ることに成功し,新規な薄膜太陽電池材料としての可能性を示した。またCuプリカーサをGeSxとS雰囲気中で熱処理することで薄膜の形態が改善され,開放電圧Voc=489mVを得た。今後,結晶粒間の空隙の抑制などCu2GeS3薄膜の高品質化により更なる変換効率の向上が期待される。
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