2013 Fiscal Year Research-status Report
欠陥への電子捕獲により動作するグラフェンメモリの原理解明と性能向上に関する研究
Project/Area Number |
25871039
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Research Category |
Grant-in-Aid for Young Scientists (B)
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Research Institution | Kobe City College of Technology |
Principal Investigator |
市川 和典 神戸市立工業高等専門学校, その他部局等, 准教授 (90509936)
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Project Period (FY) |
2013-04-01 – 2017-03-31
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Keywords | グラフェン / フラッシュメモリ |
Research Abstract |
欠陥を用いたメモリの研究にはまず欠陥の無いグラフェンの成長条件の検討必要不可欠である。欠陥の無いグラフェンの成長のため、①ニッケル触媒の膜厚②成長温度③水素ガス濃度④冷却速度⑤アセチレンガスの流量⑥初期真空度⑦ガスの流速⑧窒素ガス中での冷却⑨昇温速度⑩成長時間などあらゆる角度から研究を行った。その結果冷却時間、水素の供給量、流速の3つが重要であることが明らかとなった。この実験を行う上でグラフェンの層数制御も可能となり、予想以上の研究成果が得られている。 (1)冷却時間がグラフェンの成長、欠陥形成に影響を与える。 購入備品である急速加熱冷却ユニットにより、冷却時間150分から急冷までグラフェンの成長を行った。その結果冷却時間を短くしていくにつれて、欠陥が少ない結晶性の高いグラフェンが形成し、急冷が最も良いグラフェンを形成できることが明らかとなった。 (2)水素の導入は非常に重要である。 マスフローコントローラーにより精密に流量を制御し、水素濃度3-20%までのを導入すると、水素はグラフェンの成長に必要な核形成を支援し、均一なグラフェンの形成に大きく影響を与えることが分かった。更に水素は濃度ではなくその供給量が重要であり、同じ水素濃度であっても流速が早ければ早いほど、1cm程度の基板では均一で欠陥の少ないグラフェンが成長することが分かった。単層グラフェン、多層グラフェンの作り分けは、水素と窒素とアセチレンガスの流量と濃度を変化させることで可能となった。
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Current Status of Research Progress |
Current Status of Research Progress
1: Research has progressed more than it was originally planned.
Reason
当初の目的であった欠陥のほぼないグラフェンの形成に加え、グラフェンの形成メカニズムが明らかとなり、また単層、多層グラフェンの作り分けの技術を習得することができた。よって技術及び知識において当初の計画以上に進展していると言える。
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Strategy for Future Research Activity |
26年度は25年度の研究成果で得られた欠陥の無いグラフェンに対し欠陥を導入する。本年度の購入備品であるRIEエッチング装置において酸素プラズマでエッチングを行う。このエッチング条件の検討と同時にデバイス化を行い、ラマン分光測定とデバイスによる電気特性の評価から、欠陥量と電気特性との関係を明らかにする。
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Expenditure Plans for the Next FY Research Funding |
次年度使用額がプラスであるが、30万円前倒しをしているので本年度研究に必要な予算は十分に使用できている。その内訳は研究の進捗により20万程度のワイドレンジ真空計を購入した。残り10万は当初の予定ではラマン測定を研究協力者である豊橋技術科学大学で行う予定であったが、今年度より兵庫県工業技術センターに同様の装置が導入されその講習料、旅費、使用料のために主に使用し、研究の進度によってこの金額が次年度使用額となった。 前倒しの目的の通り、ラマン分光測定に必要な使用料やデバイス作製に必要な消耗品に使用したい。
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